表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/84

巫女舞公開練習、行います

上手(かみて)とは客席から見て右側。

下手(しもて)とは客席から見て左側になります。

上手(じょうず)下手(へた)の意味ではありません。



「四郎、刈谷城と安祥城の状況を調べろ」

「なるべく岡崎に近い所で巫女舞が出来る神社を探してくれ」

岡崎周辺の調査に四郎を送り出した。

五作と勇太が能力アップすることから巫女舞のお囃子の練習に重点が移ったので四郎に時間の余裕が出来た。

五作と勇太は1人で敵兵3~4人を相手に出来る程度に能力が上がっていた。

笛や太鼓の覚えも早くなったのは意外だったが。


今日は熱田神宮の境内にゴザを敷き、綱を張り巫女舞無料公開練習を行う。

葵が噂を広め、立て札で公開練習日を知らせていたせいか初日から100人近い観客が集まった。

「わー!緊張するね」

テンションMAXの雛が朝からうるさい。

口数が少なくなっている鈴とは対照的だ。

「今日はあくまでも練習ですから、しかし笑顔を忘れずにいきましょう」

楓はセンターでリーダーだから大変だと思うが、しっかり2人をまとめていた。

「ええー、だってー」雛の声が響く。

少しずつ鈴と雛が本性を見せ始めてきた。

俺が緩く管理しているせいなのか?

信長の屋敷で侍女の教育を受けていた時は緊張した日々だったのだろうな。

鈴は典型的なツンデレで、真面目を装って熱心に巫女舞の振り付けを俺に教えをもらいに来る。

器用で地頭が良いのか、俺が考えている意図を理解してくれて教え易い。

振り付けの飲み込みが早いのはいいが、時々ワザと失敗して俺に身体を預けてくる。

皆に聞こえぬように「上手になったね」と囁くのが良いみたいだ。

まだ楓の目があるから良いが、楓が居なくなったら直ぐに俺を誘惑しに来そうで怖い。

雛は甘えん坊の末っ子タイプだ。

振り付けの飲み込みも早く、地頭も悪くない。

「褒めて!褒めて!」と要求するから、皆に聞こえるように褒める。

「私は側室ですから」と言って普通に俺に甘えてくる。

雛も可愛いから甘えられて俺も悪い気はしない。

楓は苦笑いするしかないみたいだ。


「只今より巫女舞公開練習を行います」

「楓様からの癒しはありませんが、舞によって大神様の恩恵が皆様に伝えられると思います」

「楓様達の練習の邪魔をせぬよう、ご静粛にお願いします」

五作の声が境内に響く。

いよいよアイドルの誕生だ。

3人の巫女舞はほぼ完成している。

公開練習などは必要ないのだが、無料で治癒するための方便なのだ。

ただ3人に観客を前にして踊ることに慣れてもらうには良い方法だ。

楓を中央で雛を上手、鈴を下手に並び、顔を伏せ3人はスタンバイしている。

五作が笛を取り、お囃子が始まる。

観客はお囃子の調子が早いと感じているだろう。

楓達3人は顔を上げ、笑顔で踊り始める。

楓は榊を左右に振り、鈴と雛は派手な扇をヒラヒラさせる。

踊りは巫女舞というより日本舞踊に近い形に変化していた。

3人が踊り出すと、観客から「はー」と深い小さなため息と手を合わせて何かを呟く声だけが出てきていた。

俺が思っていた物と違うけど、コレもまたアイドルを応援する形として納得しよう。

俺は途中で五作に合図を出し、3人の踊りを止めた。

「旦那様、どうか致しましたか?」

楓が尋ねてきた。

練習という事でやっているだから、それらしく見せないといけないだろう。

「鈴と雛は今の乱れた状況を嫌ってお隠れになった大神様をお出でになってもらう為に舞っているのだから、もっと楽しく笑顔で」

「楓は啓示を受けた時に大神様の慈しみの表情を見ているはずですよね」

「その表情を笑顔で表現して下さい」

「大神様はもっとお優しい表情だったと思います」

出た!大物演出家のダメ出し!

俺、コレがしたかったのです!!

「おい、あれは誰だ?」

「楓様のご主人で、この前の戦さの影の功労者らしいぞ」

「神子あられる楓様より偉いのか?」

わ!観客が騒ぎ始めた!

「ご静粛に!公開練習を続けます!」

「長秀様、最初から踊りを始めますが宜しいでしょうか?」

五作、ナイスフォロー!

騒いでいた観客が急に静かになった。

「今度は途中で止めないから、始めてくれ」

さぁ、俺は姿を消さないとね。

お囃子が始まり、楓達が踊り出した。

鈴と雛の笑顔が堅くなった気がするけど、まぁいいか。

楓達の踊りの終わりに合わせ、俺は魔法を掛ける。

「治癒魔法、拡散ヒール発動!」治癒魔法を薄く広げた。

「腰が痛くない!」「肩こりが治った!」「傷が消えた!」

観客がまた騒ぎ出した。

それなりにヒールの効果があったみたいだ。

楓だけ目立ってはダメだ。

楓の神子のイメージを鈴、雛を含めたグループに少しずつ変えていかないと。

鈴と雛もアイドルなのだ!

俺はこの戦国時代にアイドル文化を作ってやる!






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ