戦さの準備、始めます。
「木下様は城持ちになれるのですか?」
藤吉郎が唸りながら帰った後に、楓が聞いてきた。
「城持ちになる状況を作らないといけないだろうな」
「その時は俺は大きな領地の城持ちになっているけどな」
「え~ぇ!私がお姫様になるのですか?」
楓の目が飛んでいた。
「髪飾りを付けて、白や赤の花柄の着物を着て、侍女を連れて裾を引きずりながらゆるゆると歩くのですね」
「毎日美味しい料理を食べて」
「旦那様、ありがとうございます。楓は旦那様のお嫁になれて大変幸せです」
楓の妄想が終わらない。
「昨夜は信長様の屋敷でご馳走を食べて、厚い布団で寝ているのだから」
「待遇は立派なお姫様だろう」
楓の妄想が終わるように強く指摘した。
「え~ぇ!」今度は四郎と葵が声を上げた。
その驚きはご馳走を食べたこと?楓がもうお姫様になっていること?
狩りに行く前に俺の屋敷に風呂場を作ろう。
裏庭に魔法で菩提山城に向かう途中に作った大理石の湯船に合うように穴を掘り、異空間収納から湯船を取り出す。
地面に大理石を削った時に出た平らなカケラを敷き詰め、風情がないが三方を魔法で土壁を立ち上げる。
屋根は後で作ってもらおう。
城下はずれにある屋敷だから、猿が水遊びしていたなんて嫌だからね。
これで毎日楓と混浴?幸せ倍増!
レベル上げを兼ねた狩りは桶狭間から中美濃を通って稲葉山城までおこなった。
中美濃と稲葉山城付近に安全に転移出来るポイントを数カ所探し出した。
再来年の美濃攻略で有効に使おう。
山菜やキノコや川魚も取った。
肉ばかりの食事だと飽きるからね。
夕方に転移で屋敷に戻り、獲物を四郎に渡し、早朝から転移で狩りの続きをする。
そんな生活を2か月間続けた。
気がついたらMPが4260までアップしていた。
狩りの収入は25貫とまずまずの金額になった。
冬は雪が降り狩りが出来ないので武具を買い、武装を作り、楓、四郎、葵に剣術を教えた。
裏技としてアラビア数字による算数も教えた。
始めは苦労していたが、便利だと気づいてから3人とも熱心に勉強していた。
3人とも地頭は良いみたいだ。
時々、藤吉郎が弟の小一郎を連れて俺の屋敷に来た。
目的は風呂であったか、楓と葵の女友達なのかは分からないけど。
「木下殿、今川との戦さに連れていく若い男達を集めてくれ」
「報酬は1貫。活躍次第では上乗せする」
「俺が陣頭指揮を取るし、追撃戦になる予定だから生命の心配も少ない」
「2〜30人は欲しいな」
やっと冬が終わりを迎えた頃、俺は藤吉郎に人集めを頼んだ。
「信長様に人を回してもらえないのですか?」
小一郎が聞いてきた。
「特に猛者は要らない。人を殺せる胆力さえ有れば良い」
「信長様本隊と別行動になるから、集まる場所も違う」
「小一郎、これは割の良い話でないか?お主も一緒に行ったらどうだ」
藤吉郎が小一郎に話を振った。
「私は戦さの経験がありません。大丈夫なのですか?」
小一郎は渋っていた。
「逃げていく敵を背後から槍で刺せばいいのですよ」
「楓も参戦させます」
「殺す必要はないのです。ただ戦えなくさせれば充分です」
「敵が逃げていくのですか?」
小一郎の問いに楓がニコニコして頷いていた。
藤吉郎と小一郎は不思議そうに首を捻っていた
小一郎が参戦し、人集めをしてくれる事になった。
今川義元が動き出した。
「四郎、葵!手筈通りに今川軍の動向を探れ!」
「松平、朝比奈の軍の動きも注視しろ」
「この2軍が先兵として動くからな」
「毎日早朝と日暮れの2回報告しろ。忘れるな」
四郎と葵を沓掛城近くに忍ばせた。
藤吉郎は小一郎を含む28人の男達を木下の実家近くの寺に集めると連絡をしてきた。
「楓!明日から毎早朝、握り飯とウサギ肉の串焼きを作り、ら寺に届けよ」
「たらふく飯を食わせ、報酬は大丈夫だと信じさせよ」
「丹羽家には金があると」
小一郎に出陣が間近で、早朝に寺に集まると米の飯が食べられる事を伝えた。
小一郎は米の飯と聞いて喜んだ。
普通、農民は雑穀を食べて、滅多に白い米の飯は食べれないらしい。
「褒美は50貫。殆どが経費ですけど」
「それで良いのか?」
俺は最終確認のため信長の屋敷に来た。
「桶狭間は勝ち戦になるので、他の者の褒美でお金がかかるでしょうから、これで良いですが」
「この後の戦さはどうしますか?」
信長が俺の言葉に不思議そうな顔をした。
「丹羽家の配下は3人。その内2人は女の子です」
「戦さの度に何故か運良く雷が落ちたり、竜巻が起こるという事で行きますか?」
俺は信長を脅しているのかな。
「わかった!ユージ殿に三河との最前線の土地を与える」
「しかしそれは松平との同盟の成功報酬とする」
今回今川に寝返った者の土地だろう。
土地を持てる。やっと戦国武将に成れた気がする。
とりあえず何人かの配下が出来そうだ。




