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桶狭間の必勝の策、出来ました。

菩提山城を出た時、楓が問いかけてきた。

「旦那様、お二人に何をなさったのですか?」

楓は俺の後ろに座っていたので分からなかったようだ。

「そうだなぁ、急に大きな熊に出会ったような恐怖を与えてやった」

楓は「分からないです」と首を捻った。

「ただ驚かせてきたのですか?」

「戦の時、敵兵に大きな恐怖を与えたならどうなると思う?」

「雑兵なら怖くて逃げ出すよな」

楓は目を見開いて驚いた。

「戦わず敵は総崩れになりますね」

ピンポン!正解!

「それが解ったから重治は俺に対して恐ろしい人と言ったんだ」

「では、今日は上手くいったのですね」

にこやかに楓は俺を見つめてきた。

「いや、今日は駄目だな」

「重元が居たから、重治とゆっくり話が出来なかった」

「もう一度、重治と会う必要があるだろう」


俺達は転移で一気に清洲まで戻ってきた。

新居はほぼ完成していた。

内装、建具はまだ出来ていないらしく、後2日ほど掛かるらしい。

「旦那様、如何致しましょうか?」

信長に報告して、屋敷に泊めてもらうかな。

俺と楓は信長の屋敷に向かった。

「ユージ殿、今日は何の用件かな?」

信長は優先的に話が出来るようにしてくれた。

「忙しいそうですので、手短かに話します」

「松平元康と竹中半兵衛に会ってきました」

「あと、桶狭間での必勝の策が出来ました」

信長は難しい顔になった。

「うーん!今宵は吉乃と逢う約束になっているのだけれど」

「ユージ殿、今夜は屋敷に泊まっていってくれないか?」

「明日の朝、ゆっくり話をしよう」

信長さんは吉乃loveなんですね。

もしかして尻に敷かれてます?


「楓、ということで今夜はここに泊まっていく」

泊めてもらいに来たので、良い具合に話が進んだ。

俺達は小姓に部屋へ案内された。

「確か正妻は帰蝶様だと思ったけど、信長さんと不仲なのか?」

「帰蝶様は綺麗な方なのですが、父親似の気の強さがあってお館様が嫌っているみたいです」

一代で美濃の太守になった道三の娘ならプライドも高いだろうな。

「吉乃様もお美しい方で、母性に満ち溢れ、一緒に居ると落ち着けるとお館様が言っておりました」

騙し、裏切り、暗殺が普通のこの時代において安らぎ、寛ぎを与える女性は信長にとっても大切なんだろう。

「ところで楓はどっちなんだ?」

意味が分からないらしく、楓は首を捻っていた。

「楓は俺にとって帰蝶様なのか?吉乃様なのか?」

「私はお二人に遠く及びません。綺麗ではないし、母性も有りません」

「旦那様に捨てられたら行く場所が有りません」

楓が涙目で訴えてきた。

いやいや、そういう意味ではないのだけど。

「楓は綺麗だよ」

「俺は人を殺す事は苦手だから、苦しむことが多くあると思う」

「その時は楓、俺を助けてくれ」

楓が俺に抱きついてきた。

「楓は一生、旦那様に着いていきます」


結局、信長と話が出来たのは次の日の夕方だった。

「ユージ殿、すまなかった」

「ワシも安らぐ時が無いと狂いそうで」

理解しますよ。俺も楓がいなかったら、どうなっていたか分かりません。

「どうするかな?先に報告を聞くとするか」

俺は後ろにいる楓に目配せして、戸のそばに控えさせた。

「元康には身体強化、治癒、転移の魔法を見せつけてきました」

「治癒とは怪我を治す魔法、転移とは好きな場所に瞬間移動する魔法ですね」

とりあえず魔法について説明した。

信長は驚いて

「元康は驚いただろうな。そんなモン見せつけられたら」

「危うく囲まれそうになったので逃げ出しましたよ」

俺はにっこり笑った。

「で、元康はこっちに付くのか?」

「まだ元康の考えでは今川軍の優勢は覆っておりません」

「桶狭間での戦いの後、元康を嫌でもこちら側に来させます」

「義元の首を取るのか?」

「それは後ほどお話しします」

「元康は元気だったか?」

「元康は聡明な人ですね。是非とも味方に付ける必要がある人物だと思います」

信長は頷いている。

「竹中半兵衛にも会いに行ったか?」

「ご存知の通り美濃攻略の重要人物ですから」

「今なら織田の配下が半兵衛に接近しても調略しに来たと思わないでしょう」

「織田に美濃攻略など考えている余裕など無いな」

信長はさらに頷いた。

「まだ半兵衛の父親が領主をしていたので、顔合わせ程度です」

「威圧という魔法で軽く驚かせてきました」

半兵衛の話は軽く流そう。

信長の当面の敵は今川軍だから半兵衛の話はその程度で良いと思う。

「で、今川軍をどうするんだ?」

「魔法の爆弾でも使って今川軍を全滅させるつもりか?」

信長の目が真剣になった。

「信長さん、そんな事は考えてないでしょう」

俺は信長に笑いかけた。

「そんな派手な事をすれば、信玄辺りがチョロチョロと煩くなるでしょう」

「織田が運良く義元の首を取ったことにしておかないとね」

俺の言葉に信長は納得の頷きをした。

「さて、今川軍攻略ですが」

「俺には身体強化という魔法が有りまして、先日女の子を熱田神宮から桶狭間の10kmを30分で走らせました、疲労も無く」

「軽装の兵なら30分走らせて、そのまま戦闘に入ることが出来る筈です」

「信長さんなら桶狭間で今川軍と織田軍がぶつかった、ある程度の知識はあるでしょう」

信長は頷いた。

「義元が沓掛城から大高城に向かう途中の桶狭間で織田軍が大雨のなか、奇襲をかけたという程度ならな」

就職試験の一般常識程度の答えだった。

「熱田神宮からの奇襲。距離からして今川軍は全く警戒はしていないでしょう」

「あと、転移魔法を使い20〜30人の兵を今川軍側面から突撃させます」

「俺が先頭に立って今川軍に威圧の魔法を掛けます」

「不意に側面から威圧の魔法を掛けられたら、20~30人でも今川軍は総崩れになりますよ」

「信長さんが正面から奇襲、俺が側面から奇襲」

「これなら充分勝機があるでしょう」

「ついでに松平軍の裏切りと大声で叫ばせるつもりですけど」

俺はニヤリと笑って信長を見た。

「ユージ殿もなかなかワルやのう」

信長もニヤリと笑って、聴き慣れたフレーズが飛び出してきた。

「元康も裏切り者の汚名を被せられては、駿府に帰れないし、織田と結ぶしか手は無いだろうな」

「元康に謝りに行っているので、許されると思いますけど」

信長は目を丸くして

「駿府の元康に謝りに行ったのか?」

「せっかく会いに行ったのですから、先に謝った方が良いと思いまして」

「ユージ殿は手回しの良いお方だな」

「で、義元の首が取れるのだな」

「もし、首が取れそうもない場合には、俺が魔法で無双して首を取ってきます」

俺は強く言い放った。

「あくまでも最後の手段ですよ、これは愚策てすから」

「うむ、策としては最良だろうな」

信長は納得してくれたようだ。

「またお願いが有りまして」

楓を貰って、新居も貰って、少し頼み過ぎなのだが。

「俺の今の能力は身体強化魔法が600人、転移魔法が30人が限界なので能力アップしやすいように協力者が欲しいのです」

信長は頷き、納得しているみたいだ。

「それならユージ殿の新居の周りに猿がウロウロしていたから、その猿を使ってもいいぞ」

え?猿?食べれるの?

鹿や猪や野ウサギの肉の方が美味しいんですけど!


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