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元康に会ってきました

朝の早い時間に四郎と葵が朝食を用意して待っていた。

握り飯と漬物を何処かで調達してきたようだ。

「遅れてすまない」

特に朝早くから行動すると言ってないけど。

緊張しているのか、目つきがいつもより険しい。

握り飯を食べながら今日の予定を伝えておく。

「元康の屋敷には俺と楓の2人だけで向かう」

「万が一のことを考えて、四郎と葵は駿府から逃げる準備して待て」

「良くも悪くも今日にはここを去るから、清洲で食べる美味しい魚を見つけといてくれ」

「何か疑問が有れば答えるが」

四郎は困り顔で訊ねてきた。

「会いに行くのは松平だけですか?」

「長秀様の力を持ってすれば義元の生命など容易いと思っているのですが?」

四郎は何処まで俺の力が分かっているのだ?

確かに義元の首を取るのは容易いが

「松平元康以外、ここ駿府には何の価値も無い」

「義元は信長様が倒さなければならないのだ!いずれ解る」

俺と楓、四郎と葵の二手に分かれた。

信長の忍びにより元康の屋敷の場所は四郎に伝えられていた。


元康の屋敷は人質といえ、領主なりの大きさがあった。

「織田家配下、丹羽長秀と申す」

「松平元康様にお目通りをお願いしたい」

俺は門番に堂々と名乗りを上げた。

ステータスの運をSSまで上げているから、下手な小細工をするよりステータスに仕事をさせた方が良いと判断した。

少し待っていると

「元康様がお会いになると申しております」

門番が門を開き屋敷に招き入れた。

楓は俺の後ろから付いて来ているが、かなり緊張している。

「楓、安心しろ。俺が守ってやる!」

敵地の真っ只中にいるのだから、しょうがないけど。

俺達は広めの庭が望める部屋に通された。

何時でも逃げ出せる状況は元康の配慮かもしれない。

床に座っていると、ほどなく12歳ぐらいの小姓を連れて元康が現れた。

「敵国の屋敷に女連れで乗り込むとは、丹羽殿も剛毅な方ですね」

元康はにこやかに声を掛けてきた。

俺達の正面に座った元康は17歳ぐらいか。

苦労が多いせいか、歳に似合わない落ち着きがあった。

「今日はお詫びを兼ねて元康様と誼みが交わされたらと思い、伺いました」

「丹羽殿とは初対面では?詫びとは?」

俺はニコリと笑って

「今後元康様にはご迷惑をお掛けしますので、先に謝っておこうと」

「丹羽殿は変わった御仁であるな」

元康も笑い返した。

「織田様の使いだと思っていたが、お主は何者だ!」

元康のそばに控えていた小姓が大声を上げた。

楓が立ち上がり、小刀に手を掛けた。

「平八郎、やめなさい!」

「楓、落ち着きなさい!」

俺と元康は同時に声を上げた。

「平八郎?本多忠勝殿であったか」

つい、嬉しくなって呟いてしまった。

本多忠勝。俺が徳川家配下で一番好きな武将だ。

漫画にもよく登場する忠勝。

「何故、我が名を知っている?」

いや、あんた有名人じゃん。

て、12歳の小姓の名前を普通知らないか。

「元康様、俺が未来から来た者であると言ったなら信じますか?」

少し突然過ぎたかな?

何を言っているんだ、この者は?の顔を元康はしていた。

「元康様は将来、駿河、甲斐の国を手にする大大名に成られると言ったならば信じますか?」

ニカっと俺は元康に笑い掛けた。

「この者は松平、今川に害をなす者」

「捕らえて尋問致します」

平八郎は太刀を置き、そばにあった槍を構えた。

痛いほどの殺気がビンビン伝わってくる。

「元康様、お庭をお借りします」

「ここでは柱に傷を作りますので」

「楓、庭の角に行きなさい!」

「俺の強さを信じろ。問題は何も無い」

俺はゆっくり立ち上がり、庭に歩き出した。

「おのれ、逃げるつもりか?」

「ふー」とため息が出てしまった。

「女連れで逃げる?笑わせるな!」

「平八郎!俺と太刀合うのは10年早いわ!」

俺は庭の中央で平八郎を待った。

「仕方ない。平八郎、生命は取るな!」

「聞きたい事がまだある」

平八郎はこっくり頷き、庭に出て来た。

少年であるが槍を構えた姿に隙は無い、強い!

しかしながら、丸腰だけど俺は負ける気がしない。

万が一を考えてあらかじめ身体強化とスピードアップの魔法を掛けておく。

圧倒的な強さを見せた方が良いな。

戦さ慣れしているせいか、槍を真っ直ぐ俺に向けてくる。

右肩を狙って突いてきたが、俺は余裕で躱す。

素早く槍を持った平八郎の手を払い、軽く背中に手刀を入れた。

ズドン!平八郎の身体が飛んでいった。

「すまん、力を入れ過ぎた」

一瞬の動きで何が起こったか分からないだろう。

「楓、平八郎の介抱を頼む」

楓は平八郎に駆け寄り、抱き起こした。

振り返ると元康は呆気に取られ立ち竦んでいた。

「平八郎様はご無事です。お怪我は有りません」

楓の声に俺はほっと胸を撫で下ろした。

「元康様、申し訳ない」

俺は元康に頭を下げた。

「仕方がない。平八郎も世間の広さを知ったであろう」

元康はゆっくり腰を下ろした。

「痛いなぁ」

「何も見えなかった。お前、何をやったんだ?」

平八郎は楓に抱かれ座り込んでいた。

俺が命じた事だが、何故か腹が立った。

「すまないが怪我が無ければ、俺の大事な女から離れて欲しいだが」

「ヒール!」

平八郎に治癒魔法を掛けた。

「何?暖ったけえ。あれ?痛みが無くなったぞ」

治癒魔法も上手くいったな。

「丹羽殿は怪我を治せるのか?」

元康は大きな声で訊ねてきた。

「たぶん」

曖昧な返事をしておいた方が良いだろう。

「丹羽殿は一体何者であるか?」

「織田家配下の武将で、元康様のお味方になりたいと思っている若造ですよ」

「今川を裏切れと、織田家に着けと言っているのか?」

「強き者に着けば宜しいかと」

「聡明な元康様なら、間違った判断はしないと思っています」

元康は俺を睨みつけてきた。

「楓、帰るぞ!」

これ以上いるとヤバイかも。

「丹羽殿、待たれよ!」

「我が手の者が取り囲み、首をはねようとしたなら如何なされるかな?」

元康、その目は本気ですね。

「それは無理なこと」

「今川家の兵に囲まれても俺は逃げられますから」

にっこり笑って答えた。

「俺は伝えた筈です。お味方になると」

楓の肩に手を掛けた。

「楓、転移魔法を使うから、目を閉じろ」

脳内通信で楓に伝えた。

騒ぎになる前にさっさと逃げ出しますか。



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