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桜
わたしが死んだら
おもいでも泡になって
きっとちりぢり
わたしが死んだら
かなしみも霧散して
きっとばらばら
わたしは
死んだら
桜になりたい
うららかな春に
うすべに色のはなびらを舞わせて
しらないだれかに
春をずっと
覚えていてほしい
わたしのいた春を
まちはうねり
おおぜいのおもいを呑みこんだ
そしてできた不安定な土壌に
春がおとずれている
いまは
浄化のとき
ふくざつに絡みあった愛惜が
天へ昇るとき
一日をおえるたびに
死んだときをかんがえて
だのに希望を絶やさないのは
あきらかに春が
わたしを魅せるから
ちいさな蠢きがきこえる
やがてすべてを呑みこむ蠢きが
桜は静かにゆらめいている
ともしびのように
妖しく