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フーファ
舶来の椅子によりかかって
きみは本をよむ
イタリアの椅子なのだと
ときたま自慢していた
わたしが本のことをきくと
すこし微笑んで
その表紙をみせて
さいしょの一文だけよみあげてみせる
舶来の椅子を
きみはフーファと名付けた
ついぞ由来をあばけなかったが
わたしは その
フーファというおとのかんじが
とても好きだった
あたらしく本を買えば
「椅子がいる」といった
フーファはつねにきみをまちかまえていて
そこへどっしりと座るのは
きみとフーファが
なぜかこころかよわすような
神秘さと
ふしぎさがあった
三年が経ち
舶来のフーファをのこして
きみはゆくえしれずだ
異国の春は三度目で
ただ椅子として
フーファはきみをまっている