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春のすべて
まだ
さむそうなかおをしながら
きみは春を征く
群像の
ただひとりと知りながら
きみは春を
ついに
幕を開けた季節の
ちょうど一点ないま
ものたりなげに
こころの征き場をさがしながら
春とは
鳴動である
と、かすかにいえば
きみは征くえをくらませた
うつくしい花のうたが
いまも記憶をつむいでいる
春とは
鳴動であるのだ
生命の躍どうであるのだよ
まだ
さむそうなかおをしながら
わたしは春を征く
群像に
だれかをさがしているのは
わたしだけではないよ