表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イロナシ  作者: ミクロ大統領
17/27

上塗り・現場

ハルカとリョウジは共に学校まで戻ってきた。


「……もうあの子と関わるのはやめるんだぞ」


「……」


リョウジの忠告を無視して校門を通過する。

あれから長々説教されて、リョウジに対してそれなりの鬱憤があった。


「絶対関わるなよ!」


「うるッさい!!もうホントうるッッッさい!!!」


大声で叫ぶ。

しかし、リョウジはそのことについて咎めなかった。


・・・


「ナアヤ…絶対許さない!絶対絶対絶対…」


教室に戻りながらブツブツと呪詛を唱える。

どうやら休み時間らしい。

廊下を男子たちが走り回っている。


「邪魔!どいて!」


怒鳴り散らしてそれらを退避させる。

除雪車のように。

邪魔者をかき分けて教室まで戻る。


その途中―――。


「…あ、ハルカ。戻ってきたんだー」


後ろから呼び掛けられ…


「……ナアヤ!」


怒りに満ちた声で応える。

声だけで分かった。

ナアヤ。ナアヤ。許してはおけない女。


「な、何よ」


その威圧感に、流石のナアヤもたじろぐ。


「ナアヤ、毎日ミナキに何してるの!?

あのミナキの様子…どう見たっておかしいじゃない!」


「……へえ?」


問い詰められているのに、ナアヤは余裕の表情だ。


「…何?何でナアヤがそんな顔出来るわけ…?今の自分が置かれてる状況…」


「…を理解出来てないのはアナタよ、ハルカ」


「……え?」


…そこで思い出した。

厄介なことを。

そして理不尽なことを。


こんなどうしようもない外道に、恐るべきバックボーンがついているという事実を。

ナアヤはニヤッと笑って耳打ちしてきた。


「あー、解った?思い出した?所詮クラスのバカどもや弱虫教師どもは何も出来ないのよ、私に従うしかないの」


「…………ナアヤ……」


「みーんな、私に逆らえばどうなるかを知ってるワケ。

あーーーあ、ハルカの親はと言えば……フフフ。

吹けば飛ぶカスみたいなヤツでしょ?ちっぽけな島で先生やってた腰抜けでしょ?フフフ…」


―――その瞬間、ハルカの脳を電撃が走った。


そして耳に嫌な音が入ってきた。


グジャッ


何の音かは分からない。


…いや、訂正しよう。


分かりたくない。


だが、この場でこんな音がするとなれば―――


その音の正体は自ずと見えてくる。


挿絵(By みてみん)


「あ………ぁ…ぁ………あ、……ああ…ぁ…」


ハルカは声を失い、

廊下にいた生徒たちもその場に不似合いな沈黙に荷担していた。


誰一人として声を挙げなかった。


漆黒のカタマリから無数に伸びた触手のようなモノ。


それらがナアヤを貫いていた。


その目は、最後の力を…ありったけの生命を湛えている。


睨むように鋭く光る眼光がハルカを射抜く。


ハルカはそのまま、膝から崩れ落ちた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ