セカンドの為に
「……ハァ……ハァ……わ、私……どうして学校なんかに…戻ってきたんだろう…」
戻ってきたことに一定以上の後悔がある。
しかし、なぜか帰ろうという気にはならなかった。
仕方なく、昇降口の近くを迷い子のように歩き回る。
「………」
ミナキは、山にいた時より更に恐ろしいことが起きていると感じた。
体の奥にもうひとつの魂が宿ったかのような不思議な感覚。
経験したこともないのに、言葉に出来るくらい馴染みがあるような感覚。
「…私の体に何が起きたの…?」
混乱して、もうどのようにすれば良いのか分からなくなったミナキ。
その背中を何かが這った。
「ひゃッ…!」
そして、擽るような感覚の次に激しい痛みが走った。
「あぐッ!!!」
あまりの痛みに耐えきれず、振り向く。
するとそこには、例の少女がいた。
「おかえりぃ、ミナキ」
「……ナアヤちゃん……これ……ナアヤちゃんが……やったの…?」
「そうよー。勝手に学校脱け出す悪い子にはムカデをプレゼントしないとね」
青ざめるミナキ。
確かにナアヤはムカデと言った。
衝撃。
急いでムカデを取っ払うが、噛まれたという事実は消えない。
跪き、背中を強く押さえる。
痛みのせいで涙が止まらなくなる。
「はは、何泣いてんの?そんな風にアピールしたって、誰にも届かないよ」
ナアヤは、跪いたままのミナキの頭を踏みつけた。