表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イロナシ  作者: ミクロ大統領
14/27

拡散する、その先

ミナキはひたすら逃げた。

何かを抉られそうな感覚から。


何もかもを剥がされて、死んでしまいそうな感覚から。


漠然とした…しかし明確な恐怖から。


しかし、どれほど走った頃か。


ミナキは足を絡ませて転けた。

そして、土を思い切り飲み込んだ。


「かはっ、……うぅ…」


慌てて吐き出す。


そして…。

立ち止まったからか?

それともいきなり現れたのか?

ミナキは後方の気配に気づいた。

曖昧な気配。

しかし、何かが確実に存在するということを理解させるには事足りる程の気配。


挿絵(By みてみん)


「………?」


大きく、まるで自分の精神を体現したかのような恐ろしい気配。


「………誰…?」


『………』


ただ静寂が。

静寂という答えが。


しかし、それはその存在の異常性を証明するには充分すぎた。

ミナキは再び逃げ出す。


「……っ!」


しかし『気配』は消えない。

背中に憑依されているかのように。

若しくは同じ速度で走っているかのように。


『………』


その無言の恐怖は、振り向いて正体を確かめたいという衝動に勝っていた。

確認するのは一瞬だが、とにかくこんな山の中でそんなことをする勇気は、未熟で哀れな少女にはない。


彼女はひたすら逃げ続け、ついには何事もなく山を降りきった。


そして、何を思ったのか学校に戻った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ