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人の心

復帰します。

ブックマークを解除しなかったそこの読者様。

お靴ぺろぺろ致します!

「お疲れ様です。今日からは家には帰らず学校のとあるところに少しの間だけ止まってもらうことになりました。もちろん、あなた方の親からは承諾を得ています。それとこれから少しの間授業は全部先ほどのゲームとなります。」


 言葉を聞いていくうちに、どんどん現実に引き戻されていった。

 あれは、ゲームだったのか、と絶望感に浸されていた。

 他のやつらも本当に異世界だと信じ切っていたようで、何か魂の抜けた感じになっていた。


「こっちの世界でも、スキルは使えるのかな。『異次元収納』」


 スキルを発動しようとしても、何も起こらなかった。

 やはり、これは現実。

 さっきのはゲームだというどうしようもならないことを突き付けられた。

 何年もの間1人だけで取り残されていた奇妙な体験をしていてはいってくる情報量が多いのかわからないが、瞼を閉じればすぐに意識は離れていった。


 翌朝


 また、あのゲーム室に連れてこさせられた。

 みんな調子が戻ったのか仲間内で話し合ってガヤガヤしていた。


「あれ? そこにいるのは桐ケ谷君じゃないかな? いやー僕たちと別れた後何があったか知らないけど相当苦労したようだね。今でも、仲間にさせてくださいと土下座して泣きつけば考えないこともないけど?」

「結構だ」

「ムッ! この勇者である僕の申し出を断るとは、いい度胸をしている、後で絶対後悔させてやるからな」


 いまだにゲームと現実の区別がついていないらしい。

 こいつがどうなろうが俺には知ったこっちゃないがな。


「それでは、皆さん、ゲーム機をセットしてください」


 先制がそういうと生徒が次々にゲーム機を頭にセットしていった。

 俺も自分のところにあおむけになりゲーム機をセットする。


「それでは、行きます」


 先生の言葉と同時に俺の意識は無くなった。


 ◇


 周りが先ほどのガヤガヤと比べ物にならないぐらいの物になっていた。

 寝ぼけた感じからだんだんと覚醒していくと、ゲームの出来事がよみがえってきた。


「......ついたな」


とりあえず、いろいろ考えることもあるがそれは宿に帰ってからにしようと思いまずは服屋に入った。

服屋はユニブロとかの万人受けしそうなものではなく、高級感あふれているところだった。

一応服は自分で作れるのだが今すぐにというわけにもいかないので、即着替えられる服屋を選んだ。


とりあえず、店員さんに見繕ってもらい適当に三着ぐらいを買った。

高級感はあるが、あまり目立たないようなものだ。

価格は金貨一枚と人参が十本で金貨十枚なのだから安い。


ルルは最初嫌がっていたが強引に着せて店員さんから貸してもらった櫛で髪を整えてあげるとどこか嬉しそうだった。


これからの予定はあらかた整っていた。

まず、寝泊まりするところが必要なため宿屋に行くことにした。


外に出るとあたりは夕方になっていた。


「いらっしゃいませ!」


愛想のあるいかにも宿屋の娘みたいな人が受付をしていた。

今度からこの人は娘子と呼ぶことにしよう。


「一人部屋を二人で借りたい」

「一泊二日朝と夜食事付きで金貨一枚になります」

「じゃあ三部屋借りたい」

「金貨三枚です」


金貨三枚を支払って、自分の部屋に行く。

とりあえず、宿屋を見つけようと思い商会を出て見つけたのがこの宿だ。

商会が中心部にあると考えれば少し遠いが値段は良心的だ。

一番最初に見つけた宿なんて一泊金貨十枚もしたから驚きだ。

宿の外見は格別綺麗というわけでもないがちゃんと掃除はされていた。


「......ありがとうございます」


突然の事で驚いた。

部屋に入ってベッドで子供みたいに寝転んでいたらルルからありがとうと聞こえた。

それがうれしかった。

なぜ、赤の他人にそこまで優しくするのかと言えばルルと俺は親近感を感じた。

ルルも俺がいなかったら奴隷になっていただろう。

俺も、あの家に居れば奴隷と変わらないぐらいだ。


そんなルルに親近感を感じた。

まあ、困ってる人がいればルルほどにまではしないけど助けはする。

それが日本で培った人情というものだろう。


「そういえば、名前を言ってなかったな。俺の名前は桐ヶ谷拓翔。こんな服装をしているが貴族でも何でもない。いずれ、富と権力でこの世界を掌握するものだ。ルルの事は妹だと思っているが気にしないでくれ。アーッハッハッハ......ハ......はぁ」


いい自己紹介が思いつかなかったから、まんまラノベに書いてあった自己紹介をパクったがいざ言ってみるとめっちゃ恥ずかしい。


そんなことを考えているとすすり泣きが聞こえてくる。

ルルが下を向いて涙を流していた。


「もう……逃げない? 私を置いていかない? ピクニックと言って私を置いていったお母さんみたいに」

「ああ、逃げない。ずっと一緒だ」


俺がそういうとルルが抱き着いてきた。

ルルの体を俺は優しく抱いてあげた。

今まで、俺とルルにあった壁が消えていったような気がした。


その晩、宿屋からは少女の泣く声が響いたそうな。


<<二ページ目更新。【主人公が人の温かさに気づく】>>[セッションを切断中:現在45%]


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宜しくお願い致します。

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