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アリオス商会

少し遅くなりました。

申し訳ありません。

 声の聞こえた方に走っていくと、いかにもチンピラがいそうな狭い路地だった。

 店の看板などは出ているが、開店はしていない。

 夜の店なのだろう。

 足音を立てないように壁まで行き聞き耳を立てた。


「へへ、追い詰めたぜ、もう逃げられねぇ」

「アニキ! 早く捕えて奴隷商に持っていきましょう」

「おう! そうだな」


 どうやら、奴隷商に売り飛ばすらしい。

 この世界では奴隷は合法かどうかわからないが、ひっとらえて奴隷にするのは明らかにアウトだろう。

 少女の方は何も言わない。

 所々に切り傷などの傷があり、逃げられないとわかって絶望したのかもしれない。

 今まで【異次元収納】で埃被ってたあいつを出すか。


「おい、お前ら! そこの女の子を追いかけまわすのがそんなに好きか? 特別な性癖をお持ちなようで」


 チンピラたちの後ろに立ち、そう叫んだ。


「んだとコラァ! お前も奴隷に加えてやるぜ! ピラ、お前はそいつを見張っとけ」

「了解です! アニキ!」


 仕舞ってあった剣を抜き大きく振りかぶって走ってきた。


「いけ! ビショップ!」


 俺が合図を出すと、小さいものが飛んで行った。

 俺が変な言葉を言ったせいでチンピラが一瞬戸惑ったが、すぐ余裕を見せた顔で剣を下す。

 その剣が俺の頭に直撃――しない。

 アニキが俺の目の前でばたりと倒れた。


「アニキ―! 大丈夫で――」


 続けて2人目のチンピラも気絶させた。

 今使ったのは異空間(紛らわしいから異空間ってことにした)で改良に改良を重ね作り出したドローンだ。

 今使ったのは対人攻撃用ドローン ビショップ

 俺が合図を出すと、自動的に射程圏内まで行き針を刺す。

 今回は殺すのはダメだと思い瞬間気絶薬を針で血液に流した。

 他にも防御用などいろいろなドローンを作った。

 初の運用だったがうまくいったみたいだ。


「えっと、大丈夫かな」

「……」


 =ステータス=


 名前:ルル 

 レベル:7

 性別:女

 種族:狼族


 HP:34/300

 MP:100/100

 STR 67

 DEF 31

 INT 48

 AGL 80

 DEX 13

 LUK 1


 スキル:<獣化>

 ユニークスキル:<黒雷>


 あの子のステータスだ。

 LUKが壊滅的に低いな。

 だから、奴隷商に売り飛ばされそうになっていたのか。

 体はやせ細っており、服もボロボロ、髪もぼさぼさ

 俺もお腹が空いたから、初めての異世界食を食べようと思ってるのだが、ここまで来て、この子を見捨てるのはさすがに可哀想なので、連れていくことにした。

 全回復ポーションのフルポーションを飲んでもらった。

【料理】スキルを使って異空間ではいろんなものを作ったが、ここで食べさせるのは、衛生的に悪い。

 そうだ! トムさんのところに何かあるかな。

 善は急げだ、早速トムさんのところに行ってみよう。


「今からご飯食べに行くんだけど、一緒に行くか?」

「……うん」

「じゃあ、行こうか」


 そう言って、歩き始めた。

 と言っても、トムさんの商会がどこにあるかは、わからないので、通行人に聞いたりした。

 ぼろぼろの少女を一緒に引き連れてるから周りからの視線が痛いが我慢だ。頑張れ俺!


「ここか。でっかいな」


 トムさんの商会に着いた。

 検問のところに1人でいたからてっきりそこら辺にいる行商ぐらいだと思っていたが立派な建物をお持ちなようで。

 ショッピングモールみたいになってて、中に入るのは自由で買い物ができるらしい。

 店の中にいたスタッフさんに食堂はあるかと聞いたら、ちゃんとあるらしいので、そこに行ってみよう。


「おや、タクト様ではありませんかな?」

「おお! トムさん。お世話になっております」

「いやはや、ここまで早くうちの商会に入ってもらえるとは……見たところスラムの方の子ですね」

「そうなんですか? 奴隷商に売り飛ばされそうになったところを助けて何か食べさせようと思いここに来ました」

「そうですか、最近スラムの人を奴隷にしようとする輩が多いですからね。私の商会には服屋もあるので是非とも、このアリオス商会にお立ち寄りください」

「そうしてもらいます。ではまたの機会に」


 どうやらスラムの子らしい。

 ラノベで読んだ通りのスラムだとルルの姿を見て想像できる。

 それとトムさんの商会はアリオス商会と言うらしい。

 ちょっとわくわくしてきた。


「めっちゃフードコートなんだけど」


 トムさんの商会の食堂はいろいろな店があり自分の好きなものを買うというフードコート式だった。

 異世界でも、フードコートみたいなものがあるのか。

 適当に買って席に座る。


「食べる?」

「……」

「いらないならもらうわ」


 そう言ってルルの分のご飯に手を付けようとしたら、「だめ」と言われて手を払われてしまった。

 仮にも俺よりステータスは上なので、俺の手を払うことは簡単だ。

 そこからルルは猛烈な勢いでカレーを食べていった。

 カレーは大人の辛さなのでルルはひーひー言いながら食べてた。


「じゃあ、服を買いに行こう」

「……そんな、こうかなもの、いらない」

「いいんだ、いいんだ。俺も可愛い服を着たルルを見てみたいから」

「――ん」


 最初は何も言葉を発しなかったがだんだん馴染んできたのかいろいろなことを話すようになってる。

 自分の妹ではないのに本当の妹のように見てしまう。

 更にモフモフだしな。

 あのゴミ弟とは大違いだ。


「お、つい――」


 そこで意識が途切れた。

 意識が途切れたかは知らないが、さっき見た光景ではなく真っ暗なところだった。


「おつかれさまです。ゴーグルを外してください」


 そう言われてゴーグルを外すと嫌なほど見た()()()()の姿があった

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