トイレに棲みつく神様。
僕の住んでいるおんぼろアパートになんと神様がいる。
しかも......!? 『トイレに棲みつく神様。』
トイレも共同トイレなので、ここの住人がみんなで1つのトイレを使う。
でも、他の人がこのトイレに入ってる時は、トイレの神様はいないのに...?
僕がトイレに入った時にだけ現れる。
何故なの? 『トイレに棲みつく神様。』
その事を直接、トイレに棲みつく神様に聞いてみたら......?
『ワシはずっとここに居るぞ~! 他の者にはワシが見えていないだけだ!』
『...とすると? 僕だけがトイレに棲みつく神様が見えているという事かな?』
『どうやら? そうなるな~!』
『そうなのか! でも? 何故ここに棲みついてるの? 神様!』
『もともとここは大昔、神社があっての~ そこの守り神だったんじゃよ~』
『そうなんだ。』
『時代が過ぎてどんどんワシが見ていた風景も変わってきたがここがワシの
居場所なのじゃよ~』
『まぁ、そうだねぇ~ でも? トイレに棲みつく神様は何ができるの?』
『幸せをもたらすことが出来るぞ~』
『まじで!?』
『マジで!?』
『じゃ~お願いします! 僕には好きな女の子がいます。出来ればその子と
付き合いたい! どうか~ どうか~ 僕のお願いを叶えてください!』
『良かろう~ その代わり! お前の部屋に棲みかえるぞ~ いいか!』
『えぇ!? まぁ仕方がない! それでお願いします!!』
『よし! その女の子の名前を教えろ~! それと少しでも情報をくれ~』
『あぁ~ えぇーと? 彼女は......。』
『これでよい! 明日にはお前とその彼女は付き合えるようになっているぞ~』
『こんなんで? 本当に大丈夫なの?』
『あぁ~ 明日が楽しみじゃ~』
『う.うん』
◇
...とまぁ! こんな感じで今日をむかている。
正直、僕はあのトイレに棲みつく神様の事を全く信じてなかった。
そんなに簡単に彼女が僕のことを好きになってくれるはずもないだろうと
思っていたしちょっと胡散臭いと思っていたからだ!
でも、まさか!?
彼女から僕に、『告白』してきた。
『実は...前から好きだったんだぁ~ 良かったら? 私と付き合ってくれる?』
『もちろん喜んで付き合うよ!』 と僕は答えた。
なんだか? 嘘みたいな話でびっくりしている。
ずっと、僕は何も言えないまま終わる恋だと思っていたからだ。
こんな形でも彼女と付き合えて嬉しい。
例え...?
これが、 『トイレに棲みつく神様』 のおかげでも!
彼女とどうしても付き合いたかったからだ!
それがどんな方法であっても好きな人と一緒にいれる事には違いないでしょ?
『トイレに棲みつく神様ありがとう! 無事に彼女と今日から付き合えたよ。』
『そうか! それと言い方変えてくれんか? 今はトイレに棲みつく神様じゃない!
お前さんの部屋に棲みつく神様じゃ~』
『まぁ、どうでもいいと思うけど......?』
『ならん! お前さんの部屋に棲みつく神様じゃ~』
『わかったよ~ お前さんの部屋に棲みつく神様でいいよ。』
『よし! じゃ~ 今からお祝いをしよーう! 飲もう~ 飲もう~ 酒じゃ~
酒じゃ~ なければ買ってこーい!』
『お酒すきなの? 神様なのに......?』
『ワシは神様だが、大の酒好きじゃ~ あはははっ~!』
『まあいいか! 僕にとっても今日は大事な日だしなぁ~!』
『飲もう~ 飲もう~ 酒じゃ~酒じゃ~』
『はいはい。』
◆
その日を境に、僕とお前さんの部屋に棲みつく神様と彼女の妙な生活が始まった。
毎日僕は朝仕事に行って、お前さんの部屋に棲みつく神様と彼女は二人で僕を見送
ってくれるのだがなんだか二人が怪しい。
彼女も僕の後に家を出て仕事に行くのだけど.......?
僕が出ていった後、二人がどうしてるのかわからないし。
なんだか? 日に日に僕より二人の方が仲がいい。
まるで付き合ってるみたいにイチャイチャしだした。
『これって? どういう事なの~?』
まさか!? 二人は付き合ってるとか言うのかな?
もしそうだったら...? 取りあえずはお前さんの部屋に棲みつく神様と彼女に
直接二人に聞いてみた?
『あぁ、隠していたが、ワシたちは付き合っておるよ~』
『はぁ!?』
『そうなの~ ごめんね!』
『あのね? アナタ達!? 何言ってるかちゃんとわかってるのか!?』
『もちろんじゃよ~』
『わかってるわよ!』
『二人とも出ていけ~!!!』
『わかった出て行くよ。』
『そうね? じゃ私の実家に行きましょ~ お前さんの部屋に棲みつく神様。』
『あぁ~ そうしよう! 長いあいだ世話になったなぁ~ それと済まない!』
『......』
...とまぁ! こんな形で僕たちの関係は終わった。
その後、二人がどうなっているのか? 僕は知りません。