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第6話「頭部」

女……確かロロ、が眠っている大男を乱暴にテーブルの上を目掛けて片手で放りなげる。

だが、テーブルは大男を支えることができずに音を立てて壊れた。

これでは回復した意味がない……そう思っているとロロが壊れたテーブルに向かって声を荒らげた。


「早く起きな!!」


鬼だ……。 休ませようとしたわけではなく、起こそうとしたらしい……大男を放り投げた怪力も相まって鬼にしか見えない…………。


「勘弁してくれよ!」


フラフラの大男が立ち上がり言った。

ダボダボのズボンは裂け、全身が埃まみれなのがより悲惨さを醸し出している。


「うるさい! 来な!」


ロロの一声で泣きそうになりながらついていく大男、無残だ。

この人は着ている真紅のドレスのように情熱的な性格らしい…………。

なるべく関わらないようにしよう……。


「そこのひょろっちいのもだよ!! 早くしないとブン殴る!!」


すぐさま駆け寄る。

あの腕力で殴られるよりはこき使われる方がマシだと思った。

ロロのすぐ後ろにルチア、大男と俺はその後ろに並び、ロロについていく。

勿論走りながらだ。

乳酸がパンパンに溜まっている足を無理矢理動かしなんとかついて行ってるがこのままじゃ、ディゲスに会うより先に倒れてしまいそうだ…………。


俺がこんな状態だというのにルチアとロロは涼しい顔で話している。

これが持つものと持たざるものの違いなのだろうか……。

そう考えてると隣の大男にトン、トンと肩を叩かれた。


「なぁ……ここらじゃ見ない顔だよな どっから来たんだ?」


「さっ……さっぽ……ぽろ」


「お、おい、大丈夫か? おぶってやってもいいぞ?」


「はっはっ……だ………だいじょう……ぶ」


息が続かず軽く酸欠状態、足もガタガタで膝の当たりがめちゃくちゃ痛む。

正直頼みたいが、この大男の顔を見ると罪悪感で死にそうだ。

とてもじゃないが………頼むことは出来ない。


「遠慮するな」


そう言って大男は俺のパーカーのフードをつかみ、壁のような背中に乗せた。


「……だ…………大丈夫、問題ない……ですから」


とは言うもの胸の喘ぎが止まらない。

喋るのが苦しい。


「無理するな。 こんな状態じゃディゲスにやられちまうぞ」


自分がボロボロだっていうのに、人の心配までしてくれる人を俺は…………。


「お、おい泣くこと無いだろ!」


大男は慌ててそういった。


 


 _____

 _________

 _______________




ロロが立ち止まり、後ろの俺たちに向けて制止のサインをした。

俺にはまばらな緑くらいしか見えていないが、彼女には何か見えているのだろうか、背負っている鞘から双剣を引き抜く。

片方はフックのように剣先が曲がっているゲームでもみたことがないものだった。



「ディゲスの匂いだ。 かなり濃いね……」


ロロが真剣な面持ちで剣先が曲がっていない方を逆手に持ち構える。

どこにいるんだ……まぁゴキブリみたいに人を殺す力なんて。


「来たよ! あんたら気をつけな!!」


ロロが前へ飛び出す、続いてルチアと俺を降ろした大男が続いていく。

俺はというとディゲス以前に、生き物すらまだみえてさえおらず、下手に動くことができない。

皆は見えているのだろうか……。

ロロに続いて真っ直ぐに一点に向かっていく。


ロロは身体を倒れそうなほどに前傾させ、地を抉り取るかのように平野を突き進んでいく。

何かが茂みから現れるのとロロが剣を振り上げるのは同時だった。

だが、姿までは確認できない。


次々と飛び出してくるそれを、ロロが瞬時に切り刻む。

そして、後に続く大男が重機のように茂みを潰して行く。

ルチアは…………見えなくなってしまった。


こんなところに一人置いてかれるよりは強い人と一緒に居たほうがマシだ…………。

ルチアたちを追いかけ……


___痛ッッッッッ!!!!!!


小さい何かが俺の脚に向かって噛み付いてきた。

見えたのはそれだけで尚更ひどくなっている痛みに耐えるだけで精一杯だ。


「あああああああああああああああああッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


徐々に徐々に火傷ともなんともいえない……だが熱い、とても熱い痛みが俺の脹脛を襲っている。

痛みに耐えるために閉じた瞼を無理やり開けて確認する。

___恐竜……?

小さい恐竜のようなものが脚に噛み付いていた。

それを片手でつかんで離そうと力を入れる。

恐竜は全く離れない、余計に顎の力が強くなっている気までしてくる。

このままじゃ耐えられない。


なら……


「あ”あ”あ”あ”ああああぁッッッッッ!!!!!」


脚が引きちぎられても構わない。

痛みゆえに選んだ選択だったが脚も牙も抜けることはなかった。

が、続いていた痛みはグチュッとした嫌な触感と共に収まっていた。

手についた贓物……脚に噛み付いている頭だけが潰れる事なく残っている。

こみあがってくる胃液を吐き出しながらも、俺はルチアの元へ脚を引きずりながら向かっていく。

こんな時にまで保身を考える自分が嫌になる。



戦闘シーンはつぎあたりかな

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