君が作った物語を僕は手づかみで食べる
君が作った物語を僕は手づかみで食べる。
出来上がったばかりの、まだほかほかと湯気を立てている物語。
行儀が悪いと思われるかもしれないが、手のひらを汁だらけにして、
欠片を辺りに撒き散らしながら僕は君の物語を食べる。
君が歌う歌を僕はそっと捕まえる。
今にも消え失せてしまいそうな儚げな歌声。
両手でそっと包むように、慎重なとても優しい動きで、
祈るような恰好で僕は君の歌を捕まえる。
君が残した思い出を僕はのんびりと畳む。
色褪せてしまったシャツのような思い出。
お日さまを浴びながら、うとうととした心地で、
一枚一枚をしわにならぬよう気をつけながら僕はのんびりと畳む。