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神様賛否

作者: 塚浦雪利

「ねぇ、神様っていると思う?」

いつだったか、君は私に問い掛けてきた。確か戦争時の微々たる休息時間。丁度大きな戦を一つ勝ち終えて、陳をはりおわった頃だったろうか。彼がそんなことを聞くのは初めてで、ギョッとして振り返れば、慌てて言葉を付け足した。

「いや、別にね、深い意味はないんだよ?ほら、君はとっても綺麗な・・天使みたいな翼があるから、ふと見てて思った訳で。えと・・その・・」

味方からも好かれていた彼と、何か壁があった私。感情豊かな彼と、表情の乏しい私。自分でもわかっているが、どうしても彼のようには出来ない。

少し、羨ましかった。いつも周りに仲間がいる、貴方が。

私は少しの間、自分の背にある翼を思い浮かべてから、

「・・・貴方は、どう思う?」

聞き返すと、かれはそらしていた瞳をこちらにむけた。

「・・もしも神様がいるなら、差別なんておこらないんじゃないかな。その日の食べ物すら望めない子供なんて、奴隷なんていなくなると思う。こんな終わりの見えない戦争だって、そもそも始まらないよ。」

でも、と私が口をひらくまえに続ける。

「きっと、どこかで見てるんじゃないかな。一生懸命生きたら、きっと、死んだときに、次には餓死なんてしなくていい、暖かい家庭に生まれられる気がするんだ。戦争なんかない、世界にさ。」

そういって静かにに笑う君。私にはその時まで、神がいるかなんて考えたこともなかった。

「・・・なら、私も今度は貴方と同じ種族に生まれたい」

「そうだね。そうしたら、みんなに紹介して、わいわいできるのになぁ。ちょっと近付きづらいけど、君はこんなに優しくて皆のことをかんがえてくれるいい子なんだけどなぁー。  みんな、噂してるよ。強くて綺麗で、頭も良くて。戦場の紅一点だって。まぁ、一番功績もあげちゃったりしてるから、いろいろと悩むところはあるけれど」

でも、たあいのない話しをしてくれるのは彼だけだ。戦場で背を預けられるのも、彼だけだ。それに、私が本当にいてほしいと思うのは、今も今後も・・

「別に、他からどう思われたっていいのだけど。」

「・・・まぁ、今の関係も嫌いじゃないんだけどね。君のこと知ってるのが僕だけっていうの、ほんとは・・」

彼の声が掻き消される。

「敵発見!隊長格は全員、集合せよ!!」

伝令係に、邪魔されてしまったから。私はまた・・とため息をついた。

「ほんとに多いね。全然休ませてくれない。」

君は私を見て笑みを浮かべた。さきほどとは違う、太陽みたいな笑み。

・・・私の、凍りついた心を溶かしてくれるもの。

「ほら、いこう?みんな、君が来るのをまってる」

私の手をとってあるきだす。

かすかに口角が上がったのが、自分でもわかった。

さっきは何て言おうとしたのか、帰ってきたら聞こうと思う。彼なら、もしかしたら答えをくれる気がする。


私が手にすこし力をいれたら、彼は笑って握りかえしてくれた。





この時間が、ずっとつづけばいいのに。

そうしたら、私のこの気持ちが何なのかも、わかりますか?

貴方が向けてくれるこの暖かい気持ちが何なのか、わかりますか?










次々に倒れていく魔物。悲痛の叫び声を上げながら逃げていく敵兵。パウダースノーの雪が赤く染まっている。

それらを無心に倒していくのは、私。あるときから戦場にいくと溢れそうなほどの思うが膨らむようになった。

それが何なのか、知ったのはついこの前で。

一人で前線を駆け抜けるようになってからだ。

爆発的な力で敵をのして、味方から向けられるのは称賛と恐怖の入り混じった瞳。

前と変わらない。だから、なにも感じない。

だけど、彼等が集まって楽しそうに話しているのをみると、どうしても彼を思い浮かべてしまう。





神様なんて、いるはずない。

いたとしたって、なんて理不尽なんだろう。






だって、もう、隣に、貴方はいないから。



=========

ああ、オチ迷子。

短編久しぶりにかいたぞ。

長編のほうがかきやす!

中学生のときに書いたの。

オチが変ですねぇ・・

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