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神乳無双 ~おっぱいに潰されて転生したら、俺がAAAAカップになっていた件~   作者: なるかわ


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第4話 無乳ランク冒険者爆誕


「これと、これと……あとは食料か」

 ミルカは小屋を隅々まで漁りながら、旅に必要な荷物をてきぱきと選り分けていた。

 俺は木箱の上に腰かけ、その様子を眺めていた。出発の準備をしているミルカを見て、改めて実感する。本当にこの人は旅に付き合ってくれるのか。

「旅費はこれで足りるか……」

 ミルカが棚の奥から引っ張り出してきたのは、金属製の小箱だった。開くと、中には金貨が隙間なく詰まっていた。蝋燭の灯りにきらりと光る、高品質そうな硬貨だ。

「ミルカ、その金貨……」

「ああ。驚いたか」

 ミルカは金貨を麻袋に移しながら、淡々と言った。

「昔稼いでいたものが残っているだけだ。私はあまり金を使わない」

「昔って……何をしていたんですか?」

「……昔の話だ」

 ミルカは手を止めることなく、それ以上は何も言わなかった。

 聞いてはいけない話だったか。

 この廃墟に一人で住み、大金を持ちながら誰にも言えない仕事をしていた。人を黙らせるだけの腕がある。この人の過去には、簡単には踏み込めない何かがある。

 今は黙って従うのが正解だろう。

「よし、準備できた」

 ミルカが立ち上がり、荷物を背負った。

「行くぞ」

「よっし! じゃあ王都に向けて出発!」

 俺は気合いを入れて拳を突き上げた。

「待て」

 ミルカがすぐに止めた。

「その前に冒険者ギルドに寄る。さっき言ったな? それと、もう一つ」

 ミルカは真顔で続けた。

「王都までの道中には、BDMに遭遇する危険がある」

「BDM?」

「バストドレインモンスター。この世界に存在する魔物だ。奴らは女の胸に宿る魔力を標的にして喰らう。魔力を全て吸い尽くされれば、女でも死ぬ」

「……男は?」

「近寄っただけで、即死だ。奴らの発する瘴気が男には致死性を持つ。だから野外での戦闘は必ず女が担う。男は原則として街の外に出ない」

 男に即死の瘴気。俺は今は女だからいい。しかし男に戻ったとき、そんなものが存在する野外には絶対に出られない。厄介な問題が積み上がっていくばかりだ。

「分かった。ギルドに行こう」

◆ ◆ ◆

 冒険者ギルドは街の中心部に近い場所にあった。石造りの重厚な建物で、入口には薄く光る結界が張られている。ミルカによれば十八歳未満の入場を防ぐためのものらしい。

 中に入ると、喧騒が一気に押し寄せてきた。酒と汗の臭い、剣を研ぐ金属音、複数の会話が重なる声。壁際には依頼書が隙間なく貼られ、大テーブルには冒険者たちが地図を広げていた。そして全員、女だった。

「やっぱり冒険者って女しかいないんですね」

「さっき言っただろう。野外に出るにはBDMへの対処が必要だ。男には不可能だから、戦闘職は必然的に女が独占する」

 そのとき、受付カウンター付近がにわかに騒がしくなった。若い女が、カウンターのテーブルを拳で叩いている。

「どういうことだよ! Gカップでなんで普通ランクスタートなんだよ! 私の胸を見ろ、これならギリ巨乳ランクだろ! それに絶賛成長中だから! HよりのGだから!」

「申し訳ございません。カースト基準で巨乳以上の方でも、冒険者ギルドでは規定により普通ランクからのスタートとなります」

「魔力の大きさと実力は比例するだろうが! なんで一緒くたに扱われないといけないんだよ!」

「おっしゃる通り、魔力の大きさは胸のサイズに比例いたします。しかし冒険者としての実力は、魔力だけで決まるものではありません。ギルドでは独自の基準でランク付けを行っておりますので」

「チッ……実力で示せってか。上等だ。さっさとバッジをよこせ」

 ヤンキー気質の女は舌打ちしながらバッジをひったくると、胸を揺らしながら足早にギルドを出て行った。俺の乳スカウターが即座に分析する。ふむ、GとHのあいだくらいか。言っていた通りだな。胸の揺れ具合からして、もしやノーブラなのではないか。

 余談だが、俺には妙な特技がある。おっぱいへの執念がこうじたのか、女性の胸のサイズを目視で正確に判別できる。自分では乳スカウターと呼んでいる。人には言えない話だが。

「ミリ、私はもう登録済みだから、向こうの受付で手続きしてきてくれ。名前はミリ=フレイと名乗っていいからな」

「一人で大丈夫かな?」

「冒険者ギルドはこの国で最も差別の少ない場所だ。貧乳街の住人も登録している。心配するな」

 俺は一人で受付の列に向かった。二十人ほどが並んでいて、少し時間がかかりそうだ。

 暇を持て余しながら壁を眺めると、ひときわ目立つポスターが貼ってあった。

【バストリア王国 バストサイズ統計データ 最新版】

対象:王国内18歳以上の女性10万人(無作為抽出)

・Aカップ未満 1%未満(正確なデータなし)

・Aカップ 3%

・Bカップ 4%

・Cカップ 6%

・Dカップ 7%

・Eカップ 8%

・Fカップ 10%

・Gカップ 16% ★最多

・Hカップ 12%

・Iカップ 9%

・Jカップ 8%

・Kカップ 7%

・Lカップ以上 9%

・合計 100% (平均値G〜H/中央値F〜G)

〈統計分析コメント〉

 近年、王国民の平均カップ数は増大傾向にある。平均値はGカップとHカップの中間程度で推移しており、10代・20代の若年層ではさらに高い。現在、王国女性の7割超がFカップ以上、3割超がIカップ以上に達している。これは統計史上最高値である。

 でかい。

 俺は心の中で呟いた。分かってはいた。街を歩いただけで体感していた。しかし数字で見ると改めて圧倒される。最多がGカップで次がHカップ。女性の3割超がIカップ以上。

 対して俺はAAAAカップ。「Aカップ未満、1%未満、正確なデータなし」

 グラフの外だ。俺の存在はグラフの外にある。

 列がゆっくりと進む。その先に、もう一枚のポスターがあった。

【王国民意識調査 あなたは巨乳? 貧乳? 簡略まとめ版】

対象:王国民男女1万人(18歳以上、無作為抽出)

・Aカップ未満 → 無乳級・カースト論外 「一度も見たことがない」

・A〜Bカップ → 貧乳級・カースト最底辺 「ほとんど見たことがない」

・C〜Dカップ → 微乳級・一般カースト底辺 「小さい」

・E〜Fカップ → 普通級・一般カースト中位 「平均以下か普通くらい」

・G〜Hカップ → 巨乳級・一般カースト上位 「普通かやや大きめ」

・I〜Kカップ → 爆乳級・カースト上流階級 「大きい、貴族階級に多い」

・L以上 → 超乳級・カースト最上位 「選ばれし者」

〈総評〉

 Cカップ未満については「成人女性で見たことがない」「現実感がない」という回答が大多数を占めた。C〜Dカップはほぼ「小さい」と評価される。E〜Hカップに王国民の約半数が集中しており、この層では意見が分かれる。Iカップ以上で「明確に大きい」という評価が増加する。

 えぐい。

 「Aカップ未満――無乳級、カースト論外」。

 論外。論外だ。俺は存在が論外の世界にいる。しかも俺はAAAAカップなので、Aカップ未満の中でもさらに下位にいる。珍獣どころか、データに捕捉されない何かだ。

 クソ貧乳女神、覚えてろよ。

「お次の方どうぞ」

 気がつくと俺の前には一人だけになっていた。上質な外套に金色の巻き髪——どこかのお嬢様だろうか。手続きを終えた彼女がこちらをちらりと見た気がしたが、俺の気のせいかもしれない。

 俺は受付へ向かう。

「あの、冒険者登録をお願いします」

「かしこまりました。お名前、年齢、バストサイズをお願いします」

「ミリ=フレイ、十八歳、アンダー六十六の……AAAAカップです」

 受付嬢の笑顔が、ぴたりと止まった。

「……ク、クアドルプル……エー?」

「そうです」

「……念のため確認させていただきます」

 受付嬢は俺の胸を短く凝視した。数秒後、微妙な顔になった。

「……た、確かにAAAAカップで間違いございません。少々お待ちください」

 受付嬢は立ち上がり、後方の上司らしき女性のもとへ足早に向かった。二人がこそこそと何かを話している。

 おい、胸が小さすぎて登録できないなんてことはないだろうな。

 やがて受付嬢が戻ってきた。

「お待たせいたしました。ミリ=フレイ様は……無乳ランクでの登録となります」

「無乳ランク?」

 普通ランクじゃねぇのかよ。

「は、はい。こちらが証のバッジです」

 差し出されたバッジは、平たい丸い形をしていた。他の冒険者のバッジが何らかの紋章を刻んでいるのに対し、これは何も刻まれていない。ただ真っ平らな円。

 何も刻む必要がなかったのか、あるいは刻むものがなかったのか。

 俺はそのバッジを受け取り、しばらく眺めた。虚しい、と感じたが、気のせいだと思うことにした。

 しかし周囲はそれを見逃さなかった。

「今の聞いた? 無乳ランクって」

「初めて聞いたわ。存在するんだ」

「あの胸で冒険者って……BDMに何もできないじゃん」

「貧乳街の子かな。一発逆転を夢見て登録しに来る子、たまにいるんだよね。すぐ死ぬんだけど」

「クスクス……」

 笑い声が聞こえた。

 俺は前を向いたまま歩いた。振り返らなかった。振り返る必要もない。

 男に戻ったら必ず見返してやる、などという気持ちも正直わかない。ただ、胸が小さいという理由だけでここまで当然のように笑われる世界が、純粋に気に食わなかった。

 ミルカのところに戻ると、彼女はフードを被り、ギルドの柱に背をもたせかけ、腕を組んで待っていた。

「どうだった」

「無乳ランクでした」

「……」

「何か言いたいことがあるなら言ってください」

「気にするな。胸の大きさ、魔力の大きさだけでその人間の強さは決まらない。少なくとも……私はそう思っている」

 ミルカは静かに、しかし確かにそう言った。励ましというより、信念の表明のように聞こえた。

「……ありがとう」

「礼はいい。次はパーティメンバーを探す。王都への道中、二人では正直心許ない」

「どうやって探すんですか?」

「ギルドの掲示板を使うこともできるが、時間がかかる。私は声をかけてまわるから、ミリは周囲をよく見ておけ。強そうな人間を見つけたら教えてくれ」

「了解。俺の乳スカウターを有効活用します」

「……何だそれは?」

「いえ、なんでもないです」

 こうして俺とミルカは、王都行きの仲間を探し始めた。

 



冒険者ギルドの入口結界は18歳未満の入場を阻むものですが、形式的な性格が強く、欺く方法も存在します。バストリア王国はバストサイズには厳格な一方、年齢については比較的おおらかです。また、バストリア王国の女性は遺伝子的に胸部に脂肪がつきやすく、かつ顔立ちが総じて整っています。顔の美しさが平均化されているからこそ、胸のサイズが唯一の差別化基準として機能している、という背景があります。

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