表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神乳無双 ~おっぱいに潰されて転生したら、俺がAAAAカップになっていた件~   作者: なるかわ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/15

第1話 俺とおっぱいの女神


 俺は今、おっぱいに顔を埋めながら死を悟っていた。

 柏木凛太郎かしわぎりんたろう、十八歳、浪人生。清廉潔白に生きてきた男の最期がこれである。死因:窒息。場所:おっぱい専門店。

 誤解しないでほしいのだが、俺はまともな人間だ。

 風俗店などとは無縁の堅実な浪人生活を送ってきたし、恋愛観だって至って純粋だ。それでも、大きな胸だけはどうにも制御できなかった。街を歩けば視線が引き寄せられ、グラビア誌を開けばページが止まる。生まれた瞬間から刷り込まれているのか、理性の届かない領域で本能が騒ぎ立てる。呪いのようなものだ。本当に。

 そんな俺が夜の街の路地裏でサングラスの客引きに「お兄さん、おっぱい、ありますよ」とささやかれた夜、足が止まったのは――まあ、浪人生活の疲れのせいにしておこう。

 気づいたときには店の扉をくぐっていた。

「一番大きい子でお願いします」

 注文した。即座に。

 これが悪手だったと気づいたのは、それから三分後のことだ。

 視界が、乳で埋まっている。

 全体像すら把握できない。輪郭は暗闇に溶けて、ただ信じがたいほど巨大な何かが俺の顔面に圧し掛かっている。胸というより、もはや意思を持った大陸だ。大陸が、征服しにきている。

 柔らかい。それは認める。生まれて初めて味わう種類の柔らかさで、この世の全てが許されるような感覚が確かにあった。

 一瞬だけ。

「ちょっ――息が、できない……っ!」

 声にならない叫びが頭の中でこだまする。鼻も口も、隙間という隙間が柔軟な肉に完全封鎖されている。手足をじたばたさせるが、びくともしない。俺の体重は七十キロだ。でもこの乳は、確実に俺より重い。

 Zカップどころじゃないぞこれ!

「あらら~、興奮してるのね♡」

 彼女が艶やかな声でそう言い、さらに圧を増した。

 違う。興奮じゃない。これは死だ。

 走馬灯というのは本当にあるらしく、脳裏にいろんな景色が浮かぶ。

 受験票。参考書の山。「ごめん、好きな人がいる」と言われた春の帰り道。

 ……ろくに揉みもしないまま逝くのか。

 でも、と俺は思った。

 大きな胸は素晴らしい。潰されながら、改めてそう確信した。この柔らかさは罪じゃない。おっぱいは何も悪くない。悪いのは俺の肺活量だ。

 生まれ変わるなら――大きな胸だらけの世界に行きたい。胸の大きさで身分が決まる世界とか。デカいほど偉くて、小さいほど肩身が狭くて……そんなくだらない妄想が、死の瀬戸際の頭に浮かんでくる。

「……その願い、叶えてやろうか?」

 どこからか、静かな声が降ってきた。

 意識が乳の海に沈んでいく。暗くて、柔らかくて、温かい。

 これが死か、と俺は思った。

◆ ◆ ◆

 気がつくと、俺は見知らぬ場所に立っていた。

 広大な夜空に星が溢れ、足元の地面はふかふかと弾力があった。踏むたびに、もちっとした手応えがある。つきたての餅を一面に敷き詰めたような大地で、ハッカみたいな甘い香りが漂っていた。

「ここは……どこだ?」

「ほっほっほ。お主の願い、叶えてやろう」

 振り返ると、豪奢な玉座に一人の女がちょこんと座っていた。年の頃は十代後半。銀の長髪、神々しい白いローブ。整った顔立ちで、女神と名乗られたら素直に信じてしまいそうだ。

 ただ一点を除けば。

「誰だ、お前は」

「わしはパイシア。全宇宙のおっぱいを統べる女神じゃ!」

 女は誇らしげに胸を張った。

 俺の視線は、自然と、その胸に落ちた。

 ……ローブの上からでも分かる。

 平らだ。

「……全宇宙の、おっぱいを、統べる……女神?」

「そうじゃ。暇つぶしに哀れなお主の願いを叶えてやろうと思ってな。感謝するがよい」

「いや待って。ちょっと待ってください」

「なんじゃ」

「おっぱいの女神が……その……」

「何が言いたい」

「……慎ましくないですか?」

 静寂が落ちた。

「……なんじゃと?」

「バカにしてるわけじゃないですよ! ただ、おっぱいの女神を名乗るなら、もっとこう、象徴的なサイズがあるのかと……」

「……お主、今わしの胸を笑ったな?」

 パイシアの目が、す、と細くなった。

「笑ってないです! 純粋な疑問です!」

「では問う」

 パイシアはゆっくりと立ち上がり、俺を見据えた。

「大きな胸と小さな胸、どちらが好みじゃ」

「…………」

「答えよ」

「……大きな胸です。圧倒的に」

 嘘はつけない。それが俺という男だ。

「……やはり、そうか」

 パイシアは静かにつぶやいた。そしておもむろに自分の胸に両手を当てた。寄せる。さらに寄せる。ぐいぐい寄せる。念じるように、寄せる。

 谷間は、できなかった。

 物理的に不可能だった。

「このわしの、清廉で慎ましい胸の、美しさを理解できぬとは……! もう許せん。絶対に許せん!」

 パイシアは俺を指差した。その細い指先が、なぜか恐ろしくゆらめいて見えた。

星海神乳評議会バストロニカ一柱ひとはしらとして、これは分からせる必要がある。お主は次の世界で、この胸の真の素晴らしさを存分に思い知るがよい!」

 その言葉と同時に、世界が白光に飲まれた。

「ちょっ――それってどういう――聞こえてますか!? パイシアさん!?」

 俺の魂が、遥か遠くへ弾け飛んでいく感覚があった。

「大きな胸の良さを思い知る」のではなく、「慎ましい胸の良さを思い知る」ことになるのか?

 意識が消える直前、最後の思考が脳裏をよぎった。

 ――これは、相当まずい転生になる予感がする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ