第97話 御札三人衆、暴走モード!?
御札作りは三人体制に突入——。
しかし、その組み合わせがまさかの化学反応を起こすとは、このとき誰も予想していなかった。
朝の社務所。
リサさんは、相変わらず無駄のない筆運びでスラスラと美文字を連発中。
「はい、次」「はい、次」
隣ではユキさんが「ちょっとアレンジしたほうが映えるんじゃない?」と、筆先をぐいっと曲げ、ハートや猫のシルエットを混ぜ込み始めた。
(おいおい、御札に猫耳つけていいのか…?)石さん、心の中でツッコミ。
さらに入口のカウンターではルカちゃんが満面の笑みで接客中。
「はいっ! 本日できたてホヤホヤの御札ですよ〜!」
まるで焼きたてパンを売る店員のテンションで、参拝者に手渡す。
「できたて!? あったかいんですか?」
「気持ちはアツアツですっ!」
(物理的には常温だよな…)石さん、再ツッコミ。
この三人がそろうと、効率は爆上がり。
リサさんのスピード、ユキさんの遊び心、ルカちゃんの販売力——。
昼前には、用意していたヒノキ札の山が半分消えていた。
「リサさん、筆速すぎて墨が飛んでます!」
「あら、飛んだ墨も味よ」
「じゃあ私、金粉とか振っちゃおうかな」ユキさん、すかさず装飾モード突入。
「金運UPバージョンです!」ルカちゃんが即座に売り文句を追加。
午後、参拝者がさらに増える。
「猫の絵が入った御札なんて初めて見た!」
「この金色のやつ、限定ですか!?」
口コミでどんどん行列が延びる。
(いやこれ…“限定”というより偶然の産物だろ…)と石さん。
夕方、ついにヒノキ札が底をつく。
「やばっ、明日の分が…」
緒方さんが慌てて材料を切り出し始め、ヒデさんまで「差し入れ」と言って大量のおにぎりを持ってくる。
「食べながらでも書ける?」
「いや、墨と海苔が混ざるからやめましょう!」クミコさん、即制止。
結局、閉門までに過去最高の御札数を記録。
ルカちゃんは「今日で10年分の笑顔ふりまいた気がします!」とバテバテ、
ユキさんは「明日はもっと派手にしよ」と危険な提案をし、
リサさんは肩を回しながら「ふぅ、今日はここまで」と筆を置いた。
石さんは空を見上げ、(…俺、いつか“御札神社”って呼ばれる気がする)と妙な未来を予感していた。
三人衆の御札制作は、もはや芸術と販売のハイブリッド。
次回、その暴走が思わぬ形で“新名物”を生み出す——。




