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第93話 暴走する御朱印ブーム
正式御朱印が始まったことで、石さん広場は連日行列。
だが、この人気が“妙な方向”に転がり始めた——。
「次の方〜」
御朱印所の新巫女さんが呼ぶと、参拝者がわらわらと駆け寄る。
……のはいいが、手にしているのは御朱印帳ではなく——
「鍋のフタ?」
「これに書いてください!」
「いや、書けませんよ!?」新巫女さんパニック。
続いては木のベンチ、釣竿、なぜか犬の服まで登場。
「犬に御朱印押すなよ!」緒方さんが慌てて止める。
一方リサさんは冷静に、
「紙以外はお断りします」
しかしその直後、持ち込まれた巨大和紙に五十枚分のスペースがあり、リサさんは静かに筆を走らせ続け——
「……この人、体力お化けか?」石さんは遠巻きに呟いた。
さらに事態はエスカレート。
「石さん本人のサイン御朱印はないんですか?」
「いや、石だから字書けないし!」
クミコさんは冗談半分で「爪あとでもいいかも」と提案し、なぜか本当に石さんの“削り粉”を袋詰めにして販売することが決定。
これがまた人気爆発。全国から“石さん粉”を求める怪しげなファンまで現れた。
こうして御朱印ブームは、気づけば“石さん粉ブーム”にすり替わっていた。
石さんは心の中で叫んだ。
(俺は一体、何を祀られてるんだ…!?)




