91/287
第91話 御朱印、ありませんか?
特別版御守りの評判で広場が賑わいだした頃、参拝者の声が飛び交い始めた。
「御朱印はないんですか?」
「御朱印?」クミコさんが首を傾げる。
「あれだよ、神社とかでもらえる印と字のやつだ」ヒデさんが説明。
石さんは小さくため息。
「……前に俺、勝手にやったことあるけど…あれはやばかったな」
そう、以前、石さんが小石で模様を描き「御朱印だ!」と渡したら、
翌日SNSで『世界一不思議な御朱印』と拡散され、全国から“ネタ参拝”が押し寄せた黒歴史がある。
「正式にやるなら…ちゃんとした書道できる人が必要よね」クミコさんが提案。
すると緒方さんがポンと手を叩く。
「そういや、知り合いに腕のいい書道家がいるぞ」
「名前は?」
「リサさん。字も性格もバシッとしてて頼りになる」
全員一致で決定。
「じゃあ正式な御朱印、始めます!」
石さんは心の中でそっと祈った。
(どうか今回は“世界一不思議”になりませんように…)
こうして“御朱印プロジェクト”が発足。
そして数日後、広場に現れることになる新たな人物——リサさんの存在が、石さんの日常をさらにかき回すことになる。




