第9話 神?いや石さん、混沌の四角関係に巻き込まれる
三角関係を観察していた俺(石)だったが、
今日は“あの男”が再び相談にやってきた。
……と思ったら、新しい参拝者まで現れて、気づけば人数が増えてるんですけど!?
平穏だった磐座前が、一瞬で修羅場に早変わりするお話です。
縄と紙垂を巻かれ、雨ざらしの俺。
三角関係を眺めるのもそろそろ慣れてきた──なんて思っていたら、今日はやけに早足の足音がやってきた。
現れたのは、二人の少女に同時に好意を寄せられている“あの男”。
先日も相談に来たばかりだが、今日は息が少し荒い。
「……石さん、マジで困ってるんだ」
(また恋愛相談か?)
男は俺の前にしゃがみこみ、声を落として言う。
「二人から同時にお菓子もらったんだけど……どっちを先に食べればいい?」
……お前、それは修羅場への直行便だぞ。
つーか、そんな相談、人間同士でやれ。
(念話モード、オン)
「同時に食え。目の前で。平等アピールだ」
「なるほど……!」
男は感心しきりに立ち上がったが、その瞬間──別の足音。
現れたのは……見覚えのない少女。
年は二人より少し若く、瞳がキラキラしている。
「あの……石さんって本当に願いを叶えてくれるんですか?」
おっと、新規顧客ご来店。
そして、視線の先は……お前か、男。
「私、あの人のことが好きなんです!」
──おい、今増やすな。四角関係って言葉が頭に浮かんだぞ。
男は目を丸くし、たじろぐ。
そこへ、タイミング悪く元祖二人組も登場。
広場……いや、この磐座前の空気が一気に凍る。
「……誰?」
「新しい参拝者?」
「えっと……その……」と口ごもる男。
俺は心の中で叫ぶ。(逃げろ!今すぐ!)
が、男はなぜか俺の方を見て「石さん、助けてくれ!」と懇願。
……いや無理だろ、俺石だぞ。
(念話モード、オン)
「お前は全員に正直に話せ。……生き残れたら、また来い」
修羅場の火蓋は切って落とされ、声の応酬が始まった。
料理の話、プレゼントの話、どっちが先に知り合ったか──
もはや俺の存在は「争いの審判役」扱いになっている。
風に揺れる紙垂が、やけに虚しくパタパタと音を立てた。
……こうして、信仰度は爆上がり。
でも、俺の精神的疲労(※石にない)は過去最高を記録した。
ついに三角関係が四角関係に進化(?)しました。
石さんは動けないし、立場的にも逃げられないので、完全に修羅場の観客席。
結果的に信仰度は上がりましたが、精神的負担も過去最大。
この混沌はまだ収まりそうにありません。
次回は、この修羅場の余波で、なぜか石さんが“平和の象徴”扱いされる(かもしれない)回をお届け予定です。