第89話 御守り行列と石さんパニック
石さん御守りが、まさかの大ブレイク!
しかし、広場にできた長蛇の列は、石さんの想定を軽々と超えていた――。
朝。
クミコさんが社務所の扉を開けると――目の前には既に30人ほどの行列。
「……え、これ、何の行列?」
「御守り、ください!」
一斉に響く声に、クミコさんは口をポカンと開けた。
「昨日出したばかりなのに…!」
社務所の奥で寝ぼけ眼のミクさんも驚く。
「え、石さんの御守りってそんな人気だったの?」
(いや、俺は聞いてないぞ)と石さん。
ヒデさんは得意げに腕を組む。
「ほら見ろ、『肉は正義』案を却下するからだ。もし採用してたらもっと売れてた!」
「絶対違う!」とクミコさんが一蹴。
それにしても、予想以上の勢いで御守りが減っていく。
縫製班(緒方さん・ミクさん・地元おばあちゃんズ)は慌てて追加製作を開始。
だが緒方さんは糸を絡ませ、ミクさんは御守りの中身を間違えて飴玉を入れてしまう始末。
「これ、子供に渡したら喜ばれるんじゃ?」
「そういう問題じゃない!」
外では行列の子供たちが「石さんの御守り持ったらゲームで勝てる!」など噂し、ますます熱気が高まっていた。
(おいおい、俺そんな効果あるなんて言ってないぞ…)
石さんは内心冷や汗。
ついには、御守りを買えなかったおじいさんが涙目で「孫に渡したかったんじゃ…」と言い出し、広場全員が「急げ!」と製作スピードを上げる。
夕方、ようやく全員に行き渡り、行列は解散。
石さんはホッと息をつくが――
「次は特別版を作りましょう!」
クミコさんの一言で、石さんの休息はあっさり消え去った。
こうして御守りブームは、街の一大イベントに。
次回、特別版制作でさらに騒動が広がる…!?




