第78話 舞い手募集、珍客乱入
神楽殿の建設が決まり、“神楽を舞う人”を探すことになった。
だが、集まるのはなぜか一癖ある人たちばかり――そんな中、ひときわ異彩を放つ人物が現れる。
神楽殿の骨組みが立ち始めた広場。
クミコさんは「神楽を舞う人を募集します!」と貼り紙を出した……のだが。
「神楽ってさ……実は踊りちょっと苦手なのよね」
巫女さん本人がそれ言う?
「だから、ちゃんと舞える人を探すの!」
まぁ、それはそれで仕方ない。
最初に来たのは、派手な羽根飾りのおばあちゃん。
「わし、フラダンス歴40年じゃ!」
腰ミシミシ揺らされても神楽殿は喜ばない。
次に来たのは筋肉ムキムキ青年。
「俺、ボディビル大会でポーズ決めるの得意っす!」
……フロントダブルバイセップスは神前ではやらないでほしい。
極めつけは、頭にスイカを乗せた男。
「これを落とさずに舞えるのが俺の芸です」
いや、芸人枠は今回ない。
そんな中、静かに現れた南さんという女性。
「子どもの頃から新体操をやっていて、リボンもフープも得意です」
そう言って手にしたのは、白い布で作られた即席の“神楽鈴リボン”。
軽やかに回し、足さばきはしなやかで正確。リボンが描く弧が夕陽に映えて美しい。
「……この人しかいない!」
全会一致で即採用。
他の応募者たちは「また何かあったら呼んでね」と去って行ったが……いや、多分呼ばない。
こうして南さんは神楽殿の正式舞い手に決定。
新体操仕込みの動きが、どんな神楽になるのか――期待と不安が入り混じる中、練習の日々が始まる。




