第76話 石さん、的中率でざわつく広場
おみくじ騒動から数日。
なぜか「石さんの言葉は当たる」という噂が街じゅうに広がり、本人(石?)の知らぬ間に信仰度が爆上がり中。
今日もまた、何やら妙な相談者がやってくるようです。
朝から広場がやけに賑やかだ。
いや、最近ずっと賑やかなんだけど、今日は輪をかけて人が集まっている。
「この間、石さんに“まあ晴れるんじゃない”って言われた日、ほんとに雨止んだのよ!」
「俺もだ!“まあ勝てるかも”って言われた試合、逆転勝利だった!」
……あのさ、あれ全部、適当に答えただけなんだけど。
石である俺・光星は、広場の中心でただ鎮座しているだけなのに、なぜか最近の“ご利益的中率”が妙に高いらしい。
偶然だよ偶然、と言いたいけど、ここで否定すると何故かみんながガッカリするので困っている。
「石さん!来月の商談、うまくいくでしょうか?」
おいおい、そんな大事なこと聞かれても……。
「……まあ、流れに乗れば、な」
と、適当に濁すと――
「ほら!石さんが言ったぞ!」と拍手と歓声。
その場にいたクミコさん(広場の巫女兼社務所担当)は、にこにこしながら俺の横で頷く。
「光星様は、言葉を選んでお告げをくださるんですよ」
いやいや、選んでるっていうか、口から勝手に出てるだけなんだけど!?
午後になると、さらに行列が伸びる。
中には、「宝くじの番号、ヒントください!」なんていう強者も。
「……数字は、好きに選べ」
と答えたら、「自由意思を尊重する深いお告げだ!」と本気で感心された。
夕方、ようやく静かになった広場で、クミコさんが茶をすすりながら言う。
「光星様、的中率、きっともう70%超えてますよ」
やめろ、数値化するな……。
それでも、どこか誇らしげに自分を見上げる人たちの顔は、ちょっとだけ悪くない気分だった。
信仰度は静かに、でも確実に上昇中。
ただし光星本人(石)は、当たる理由がまったくわかっていない――それがまた噂に拍車をかけるのだった。




