第55話 空からの置き土産
昨日のドタバタで、ようやく静まった境内。
……と思ったら、足元に転がる妙な箱がすべての始まりだった。
境内の端っこ、苔むした石灯籠の影に置かれていた木箱。
大きさは猫の寝床くらい。
蓋には「開けるな危険」と書かれた紙が、なぜかゆる~く貼られている。
「これ……昨日の空中パフォーマーの忘れ物ですよね」
クミコさんがしゃがみこみ、紙をペリッと剥がしかけ――
「開けない方が……」
低く響く石さんの声。
だが、クミコさんの好奇心は止まらない。
パカッ。
中から飛び出したのは――
「ピギャアアア!」
色とりどりの羽根を持つ小鳥たち……ではない。
頭が小鳥で、体はなぜかネズミ、尻尾は金色の蛇のような謎の生物たち。
5匹が一斉に走り出し、境内をぐるぐる疾走。
猫が興奮して追いかける。
クミコさんは「ひゃー!」と叫びながら竹ぼうきを武器に立ち向かう。
「何これ!? 何で混ざってるんですか!?」
「……空の住人は、たまに余計なものを落とす」
石さんの説明は簡潔すぎて何の役にも立たない。
小鳥ネズミヘビ(仮名)たちは器用に門を開け、商店街へと突撃。
「おーい!戻ってこーい!」
クミコさんが追いかけ、猫も追いかけ、その後ろをなぜか近所の子供たちも一緒に走る。
残された石さんの前には、木箱の底にあった一枚の紙切れ。
『繁殖力強め。放置厳禁』
石さんは小さくため息をつき、
「……また面倒になるな」
とつぶやいた(気がする)。
まさかの生物流出事件。
次回は、この“混ざりもの生物”たちが街で何をしでかすのかを追いかけます。




