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第53話 祭りのあとの静けさ
あれだけ人であふれていた境内が、一夜にして嘘みたいに静かに…。
原因は――やっぱりあの数字だった。
昨日までの喧騒が嘘のように、境内はガラガラ。
「……あれ?クミコさん、今日は行列は?」
「……ゼロです」
クミコさんはほうきを持ったまま、肩を落としていた。
原因は簡単。
「的中率65%」という噂が、なぜか「64%に下がった」という新しい噂に塗り替えられたのだ。
たった1%の差で、まるで株価暴落。
昨日まで屋台を出していたおじさんたちも、
「65ならやるけど64はなぁ〜」と妙にシビアな判断で撤退。
境内を歩くのは、近所の猫とクミコさんだけ。
石さんは相変わらず動かず、沈黙。
……と思ったら、風に紛れて
「数字に振り回されるとは、浅ましい…」と聞こえた(気がする)。
「えっ?今の何ですか?」
「幻聴です」
クミコさんはさらっと流したが、石さんの口元がわずかに笑ったようにも見えた。
夕方、日が傾く頃、境内の端で昨日の綿あめの袋が風に舞った。
それを拾い上げたクミコさんは、ぽつり。
「結局、静かなほうがいいですよね」
石さんは何も言わなかった。
ただ、境内には心地よい虫の声が響いていた。
祭りの後は静けさがやってくる…。
数字の力はすごいけど、やっぱり平穏が一番、というお話でした。
次回は、この静けさを破る“思わぬ訪問者”を登場させてみます。




