第52話 境内バブル到来?
なぜだか勝手に「ご利益65%!」という妙に現実的な数字が街に広まり、
気がつけば石さんのまわりが祭りのような賑わいに。
当の本人(?)は動かず喋らずなのに、事態は予想外の方向へ……。
朝から妙にざわつく境内。
いつもなら掃き掃除のクミコさんと、鳩の団体さんぐらいしかいないのに、今日は行列ができていた。
「次の方〜!はい、石さんに手を合わせて〜」
なぜか近所の魚屋が列を整理している。
「はい、今の65%のご利益を信じて!いってらっしゃーい!」
もはや縁日会場だ。
屋台まで出てきて、たい焼き、たこ焼き、綿あめ……。
「クミコさん、これは一体?」
「……聞かないでください。勝手に人が集まって、勝手に始まったんです」
どうやら街の噂で、石さんの「ご利益的中率65%」が妙にリアルで挑戦心をくすぐったらしい。
「半分よりちょい上なら、運試しにちょうどいい!」と解釈され、行列ができたのだ。
子どもたちは「当たるかな〜」とおみくじを引き、大人たちは「仕事が決まりますように」
「恋が実りますように」と願い、屋台のおじさんは「今日の売り上げアップ!」と祈っていく。
石さんはもちろん、何も言わない。
……と思ったら、小さく「なんでこうなった」とつぶやいた(ような気がした)。
「ほら!しゃべった!当たりのサインだ!」
その瞬間、列がざわつき、さらに人が増えた。
完全に逆効果である。
結局、日が暮れるまで行列は途切れず、
クミコさんは「ここ、神社じゃないんですけど!」と叫びながら、屋台の片付けを手伝う羽目に。
夜、静まり返った境内で、石さんはポツリとひとこと。
「……65%、恐るべし」
今回は“動かない石が経済を回す”という奇妙な回でした。
数字って妙に人を動かしますよね。
でも石さん、たぶんもう少しすれば静かな日常に戻れる……はず。




