第46話 石さんと天気の気まぐれ
今日は街で大事な行事の日。
絶対に雨は降らないでほしい……そんな願いを持った青年が、なぜか石さんの前でお祈りを始めます。
石さん、天気は専門外なんですけどね。
朝からやけに慌ただしい街。
広場の前を、旗を持った若者や着飾った子どもたちが行き交っている。
青年・ダイスケが、緊張した面持ちで石さんの前に立った。
「石さん……今日だけは、雨、降らないでくれよ。ほら、年に一度の『春の舞い』の日なんだ」
「……わしに言われてもなあ」
「でも石さんって、この街じゃ願いが叶うって有名だろ?」
「天気は……まあ、運だな」
ダイスケは眉をひそめた。
「運って……頼むよ! 舞姫のミナちゃんが今日初舞台なんだ。雨なんか降ったら……」
そこへ、通りがかったおばあちゃんが口を挟む。
「石さんに頼むなら、てるてる坊主でも一緒に置いときなさいよ」
「あ、それいいかも」
ダイスケは急いで布を持ってきて、石さんの頭に直接かぶせた。
「……おい。これ、視界ゼロだぞ」
「石さん目ないでしょ」
「心の目があるんだよ!」
そんなやりとりをしているうちに、空はどんよりと曇ってきた。
「やばい、やっぱり雨が……」
すると、近くの子どもが「わー!」と叫ぶ。
雲の切れ間から光が差し、まるでスポットライトのように広場を照らしていた。
その範囲だけ、不思議と雨雲が避けていく。
「……え、石さん、これ……」
「知らん。偶然だ」
だが、舞が終わるまで、その光はずっと広場を包んでいた。
街の人たちは「やっぱ石さんは天気も操れるんだ」と噂しはじめる。
夕暮れ。
石さんの前にミナがやってきた。
「ありがとう、石さん。お礼に……これ」
差し出されたのは、小さな飴玉。
「飴か。……まあ、悪くないな」
動かないくせに、どこかご満悦の石さんだった。
今回も石さんは「偶然だ」と言い張りますが、どう考えても偶然じゃない……ような気がします。
天気をも左右する(?)石さん、次は何を起こしてくれるのでしょうか。




