【第37話】石さんお仕事依頼編④ 〜晴れにしてくれ〜
今日はどうやら、天気のご機嫌を取らされる日らしい。
石さん、空模様とにらめっこしながら、またもや無茶ぶりを受ける。
朝から境内に、慌ただしい足音。
駆け込んできたのは、町内の魚屋の店主だ。
「石さん! 明日は絶対に晴れにしてくれ!」
開口一番、それ。
理由を聞けば、どうやら年に一度の“干物フェス”が明日開催らしい。
雨が降れば、全部パーだとか。
「……空は俺の管轄じゃないがな」
石さんは低くぼそり。
しかし店主は諦めない。
「いや、石さんなら何とかしてくれる! ほら、供え物も持ってきた!」
差し出されたのは大量のアジの干物。
……いや、それ、もう干してあるやつだよね?
仕方なく、石さんは縄の先に紙垂を足し、少しだけ形だけの“天気祈願モード”にする。
参拝の列ができ、「明日晴れますように」とみんなで手を合わせると、なんだか妙な一体感が広がってきた。
そのうち、子どもたちが晴れダンスらしきものを始める。
境内で太鼓が鳴り、笛が鳴り、なぜか即席の祭り状態に。
……そして翌日。
見事な快晴。
魚屋の店主は「さすが石さん!」と感謝の団子を持ってくるが、
石さんはただ、空を見上げてぽつり。
「……晴れる日もあれば、降る日もある」
それでも団子はしっかり受け取った。
天気のことなんて、石さんにできるはずもない。
けれど、人が本気で願えば空も少しは照れてくれる……のかもしれない。
次はどんな依頼が飛び込んでくるやら。




