【第31話】 《石さん恋愛相談室・第8回〜三角関係と石の混線回線〜》
三角関係——それは恋愛界の迷路。
石さんは、今日その迷路のど真ん中に置かれてしまう。
午前、最初の相談者は爽やか青年。
「石さん……俺、好きな子がいるんですけど、彼女には彼氏がいて……」
(ふむ、辛いな)
昼前、次に現れたのは明るい雰囲気の女性。
「石さん……実は私、付き合ってる彼氏がいるんですけど……最近、別の人が気になってて」
(おや? これはもしや……)
午後、最後に現れたのは筋肉質の男性。
「石さん、聞いてくださいよ。彼女の様子が最近おかしいんです」
(おいおい、これ絶対さっきの彼氏だろ)
——石さんの脳内マップが一気に完成。
青年=片想い男子。
女性=浮気心芽生え女子。
筋肉男性=本命彼氏。
(え、これ俺、どこから突っ込めばいいの……?)
運の悪いことに、午後の遅い時間、三人が境内で鉢合わせ。
「あれ……お前、なんでここに?」
「え、あの……」
「はぁ!? どういうことだ!?」
石さん、咄嗟に“無言”という最終兵器で固まる。
(俺はただの石……俺はただの石……)と自己暗示。
しかし三人は怒号を飛ばし合いながらも、
最終的には「お互い正直に話そう」という空気になり——
青年:「ごめん、好きになってた」
女性:「私も……迷ってたけど、やっぱり彼氏が大事」
筋肉男性:「……最初から言えよな。でももう許す」
最後には筋肉男性が石さんに向かって、
「おかげで助かったよ、石さん!」
(いや、俺はただ……置かれてただけなんだが)
三角関係は、感情の交通渋滞。
石さんは今日、完全に交差点中央で立ち往生する羽目になった——
でも、なぜか「頼れる石」という評価だけは上がっていた。




