第3話 35億年勤務中。声なき石に、声が届いてるってどういうこと?
閻魔様の“直感”により、神仏系ブラック企業(石部)に配属された光星。
過酷な環境に放り込まれながらも──なぜか意識はハッキリ。
喋れない。動けない。でも、時間だけはたっぷりある。
っていうか、ありすぎる。
地味な勤務が35億年続く中、ある日、なぜか人々の“願い”が聞こえてきて……?
……あれ?
なんか、静かすぎない?
「……気づけば、35億年?」
そう、俺は──
何を隠そう、35億年もの間、石として勤務していたのだった。
最初こそ衝突の衝撃でグッタリしてた(石だけど)けど、慣れってすごい。
気づけば地表に顔を出して、いろんな風雨にさらされながらも、
“御神体っぽい”佇まいを習得していた。
だが、ここに来てようやく疑問が湧く。
「……俺、就職したよな? 閻魔様に?」
一応、“辞令”みたいなものは出された(口頭)し、
「人々の役に立て」と言われた気がする。
……けど、何もされてなくね?
指導も研修もなし。
福利厚生どころか、35億年、誰も来ない。
「おれ、もしかして……忘れられてない?」
この惑星が“地球によく似た星”ってのも、今やどうでもいい。
問題は、完全に放置プレイ。
しかも無期限契約。
希望の部署、どころか地獄の孤島勤務なんですけど?
「もうこれ、地獄じゃね……?」
とまあ、思ってた矢先。
──人が来た。
街の人が、どうやら何かに悩んで、この“御神体”を訪れている。
昔からここにあるから、とか、なんとなく拝みたくなったから、とか──理由はバラバラ。
ただ、不思議なことが起こった。
願いが聞こえる。
「……え? 今、頭の中に……誰かの声?」
どういうシステム?
石だよ?俺。
喋れないどころか、まばたきすらできないぞ。
けど、どうやら願っている人の“強い想い”だけが、ピンポイントで入ってくる。
しかも、気づけば──
「今、その人の人生の重大なシーン、観てない?
なにこれ、俺だけの映画館……?」
気づけば、“願い人”の人生を、勝手に視聴している俺。
「それやめとけええええ!」と心で叫んだら、
なぜかその人の行動が変わって──
→ 結果、願いが叶った。
「おお、俺のアドバイス、通じてた!?」
またある時は。
「そんなことしたらバチ当たるぞぉぉぉ!」と思っていたら、
→ 本当にバチが当たってしまって、
「お礼参り、来るよね。うん、ごめん、それ俺じゃないよね?」
でも、なぜか参拝者は言う。
「願い石さまのおかげです!」「やっぱ神だわこの石!」
──いや、ただの石です。
いや、ただの石……じゃない??
それだけじゃない。
なんか最近、俺の中で妙な**“ステータス画面”**みたいなのが見えるようになってきた。
【石:光星】
・拝まれ度:+3
・信仰レベル:D→ C(昇格)
・ご利益的中率:50%
・話題性:上昇中(口コミで街に拡散)
・願い履歴:77件
・神格候補:※審査中
「これ……」
なんか、面白くなってきた。
退屈で退屈で、コケすら生えそうだった35億年(実際ちょっと生えた)が、
急にリアル願いバラエティみたいになってきた。
今日も、誰かの願いが届く。
俺はしゃべれないけど、ちょっとだけ口出すか──心の中で。
そんな感じで、石のくせにエンタメ充な日々を送る光星であった。
石なのに、人生相談を受けてる……どころか、助言までできてる!?
なぜかステータスが上がっていく不可思議な展開に、本人も読者も困惑中。
けれど、これが光星の“神への道”の第一歩。
次回は──願い人たちと、もう少し「不思議な関わり」が芽生えていきます。
神様でもない。人間でもない。だけど、誰かの人生に触れていく物語。
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