【第26話】 《石さん恋愛相談室・第3回〜それって恋ですか?〜》
恋愛相談といえば「付き合いたい」「仲直りしたい」など目的が明確なパターンが多い……はずだった。
だが、今回やってきた相談者は、そもそも自分の気持ちが分からないらしい。
……恋の入り口以前に迷子って、俺どうすりゃいいの?
昼下がり、神社もどきの広場に、麦わら帽子の青年がふらりと現れた。
「石さん……俺、人を好きになるって感覚がよく分からないんです」
(おおっと!恋愛以前に概念が分からない案件きたー!)
青年は真面目な顔で続ける。
「幼なじみの女の子がいて、よく一緒に遊んだり話したりするんですけど……この前、別の男と歩いてるの見たら、なんか胸がモヤモヤして」
(はいはい、それもうほぼ答え出てるやつ!)
俺は石なりに頑張って説明する。
「それは“やきもち”というやつだ。恋のサインの一つだぞ」
「やきもち……?」
「パンに挟むやつじゃない」
「ですよね」
(……このやり取り、すでにコントみたいなんだが)
とりあえず青年の頭の中を覗く。
——その幼なじみと、縁側でスイカを食べながら笑ってる映像が流れる。
そして例の“別の男と歩く”場面になると、青年の心の声が急に荒ぶる。
『なんであいつと笑ってんだ!?』
(やっぱ恋じゃねーか!)
俺は結論を出す。
「君、それは恋だ」
「……マジですか?」
「うん、残念ながら」
「残念ってなんですか!?」
数日後——青年が再び来た。
「石さん……告白してみたら、『そんなの前から知ってた』って笑われました」
どうやら両想いだったらしい。めでたしめでたし。
恋かどうか分からない——それはもう恋の始まり。
そして今回も石はただの傍観者……のはずが、なぜか“恋愛の神様”扱いされる日がまた近づいた気がする。
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この感じなら、三角関係系とは全然違う路線で、第4回(第27話)はもうちょいドタバタ系にできます。
次は「恋の噂が大暴走する回」にしましょうか?




