【第23話】 《石さん、平穏のはずが最後にやらかす》
やっと静かになった参拝ラッシュ。
広場に風がそよぎ、石さん(俺)も久々にのんびり雨ざらし生活を満喫…できるかと思ったら。
なぜかまた一人、妙にテンション高めな参拝者が現れるのであった。
数日ぶりに誰も来ない朝。
鳥がチュンチュン鳴き、木漏れ日がポカポカ。
「はぁ…やっと平穏だ」
石である俺は、心の底から安堵していた。
そこへ——。
「おおぉぉっ! これが噂の願掛け石さんですか!」
うわっ、来た! そして声がデカい!
見ると、派手な羽織にハチマキ、手には謎の木札を大量に持った若い男。
いきなり石の周りをぐるぐる回り始め、何やらメモ帳にメモってる。
「いや〜、僕、地元の祭り復活委員会の者なんですけど!」
祭り復活委員会? 初耳だぞ。
どうやら、この広場を「新しい観光名所」にして、一大イベントを開こうとしているらしい。
名付けて——『願掛けバチ祭り』。
…ネーミングがすでに不安しかない。
「参加者全員で願いを叫びながら石さんを三周! 最後に石さんに頭突きして運試し!」
おい待て。頭突きはやめろ。石にも痛覚はないけど、心は傷つくんだぞ?
その日の午後には、近所の人や観光客まで噂を聞きつけて集まり始めた。
太鼓や笛まで持ち込まれ、なぜか屋台も出現。
気づけば俺の周りは完全に夏祭り状態。
「石さん、恋が叶いますようにー!」
「商売繁盛ー!」
「宝くじ当たれー!」
……いや、うるさい。俺は観光地じゃない。
そして事件は起きた。
ある酔っ払いおじさんが、祭りの勢いで石さんに全力頭突き。
「ゴンッ!」と鈍い音が響き、何故かおじさんの額からピカッと光が…!
皆「おおおおっ!」と大歓声。
…が、その直後。
おじさん、派手に転んで屋台の焼きそばにダイブ。ソースまみれ。
観衆「……」
一瞬でシラける空気。
その日を境に、「石さんに願うとバチが当たるかも」という噂が流れ、参拝者は激減。
俺は再び静けさを取り戻した。
……いや、これでいいのか?
こうして平穏は戻った…が、何か複雑な気分の石さんであった。
やっぱり平和は大事。でも、ちょっとだけ、あの賑やかさが恋しいのも事実。
次はもう少しマイルドな参拝者が来てくれるとありがたい——はず。




