第22話 バチ祭り、勝手に開催される
石の俺です。
今日は朝から、常連の“元気すぎるおばあちゃん”がやってきました。
いや、元気なら健康祈願いらなくない?
朝からカラスがやたら騒いでいた。
何か嫌な予感がするな……と思っていたら、案の定やって来た。
常連の“元気すぎるおばあちゃん”、通称・町内の暴れ竜巻。
「石さん、今日は特別なお願いがあるのよ」
そう言って、ドスンと俺の前に座り込み、なぜかキンキラの紙袋をガサガサ。
中から出てきたのは——でかい太鼓バチ。
……なんで。
「これで石さんをコンコン叩いたら、邪気が飛んで健康になるって昔から言うでしょ?」
いやいやいや、そんな迷信初耳です。
てか、“叩く”って字面からしてすでにバチ当たりな感じするけど?
遠慮なく、おばあちゃんは俺の側面を——
コンッ! コンッ! ドスンッ!!
あれ、けっこう痛いぞ。石だって無傷じゃないんだぞ。
そのうちおばあちゃん、完全にリズムに乗ってきた。
「ハッ! ソレ!」と掛け声までつけて、気分は完全に祭り太鼓の達人。
……いや、対象が神聖な磐座ってだけで絵面がアウト。
すると通行人の若者が面白がって真似し始めた。
「ちょっとやらせてください!」
コンッ! ドンッ! パンッ!
なぜか拍手も加わり、周りも手拍子。
もう俺の周囲は即席の盆踊り会場。
「これ、バチ祭りって名前にしよう!」とおばあちゃん。
いやいやいや、勝手に命名すな。
しかも子供たちは「バチ当たり祭りだ!」と爆笑。
その呼び名、神様的にけっこうギリギリです。
夕方にはなぜか焼きそば屋台まで出てきて、俺の前は本当にお祭りムード。
町内放送で「急きょバチ祭り開催中!」ってアナウンスまで流れたときはさすがに頭を抱えた。
でも——
叩かれた部分がちょっとヒリヒリするし、信仰度も微妙に下がった気がする。
いやこれ、物理的にも精神的にも痛いんだけど?
こうして、なぜか毎年恒例になりそうな「バチ祭り」が爆誕。
信仰度は……微妙だけど、観光客は確実に増えた。
次はもっと優しく接してくれるイベントがいいな。




