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【第20話 雨やどり石さんと、泣き笑いの少年】

SNSブームも終わり、ようやく広場は静けさを取り戻した。

…が、石神様の暇つぶしは相変わらず人間観察。

そんな平穏な午後、雨と一緒に“新しい来訪者”が現れた。


都会の観光客も減り、いつもの地元民ばかりが顔を見せる日々。

やっと俺(石)も落ち着いて、

「今日は誰が何をしに来るかな〜」と悠長に空を見ていた。


すると、ぽつ…ぽつ…と水滴が落ちてくる。

あ、雨か。

地面の匂いがふわっと立ち上り、静かな雨音が広場を包む。

人間は皆、急いで屋根のある場所に避難していく。


その中で、ひとりだけ俺の前に駆け込んでくる影があった。

まだ小学校低学年くらいの男の子。

頭からずぶ濡れで、手には破れた紙袋。

袋の中からは…ぬいぐるみの耳が見えた。


「…石さん、雨やどり、いい?」


いいも悪いも、俺には断る口がない。

少年は俺の真横に座り込み、ぬいぐるみをタオルで拭きはじめた。

でも、手の動きがぎこちない。

…泣いてる?


「今日、友だちの誕生日で…このぬいぐるみ、あげたかったんだ。

途中で雨降ってきて、袋も破れちゃって…」


あぁ、そういうことか。

俺の中で何かがムズっと動いた。

どうせ暇だし、雨を少しでも止ませてやりたいな…と思った瞬間、

広場の上空だけ雨がスッと弱まった。


偶然か?いや、俺の“石パワー”か?


少年は気づかず、涙と雨粒まみれの顔でぬいぐるみを抱きしめ、

「…お願い、直ってくれ」とポツリ。


よし、じゃあ念話でひと押し。

“ぬいぐるみの耳、糸で二回縫って、結び目は隠すように”

と送ったら、少年はキョロっとして、

「…やってみる!」と立ち上がった。


雨が止んだ広場を駆け抜けていく小さな背中。

きっと、間に合うといいな。


その日の夕方、少年はまた俺の前にやってきた。

「石さん、ありがとう! 渡せたよ!」

満面の笑顔に、俺のステータスはたぶんほんのちょっとだけ上がった…気がする。


ブームも過ぎ去り、また日常が戻ってきた石さんの広場。

でも人の願いは、静かな日にもちゃんと転がってくる。

次回は、この雨やどり事件が思わぬ“季節イベント”に発展するかも…?

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