第2話 宇宙配属!?転職初日でディープインパクト
死んだと思ったら、まさかの“再就職”。
しかも次に目覚めた場所は──宇宙のど真ん中!?
動けない、喋れない、でも意識だけはハッキリしている。
そんな状態で、配属先(?)の星へ猛スピードで向かう俺こと光星。
まさか、配属初日に燃え尽きてしまうのか……?
そして俺の新しい人生(石)は、ここから静かに始まる──。
ユーモア転生神職ファンタジー、第2話です!
──意識が、戻ってきた。
あれだけ理不尽な流れで、「就職」と称されて強制送還されたというのに、
この俺は……
ちゃんと意識がある。
さすが人間あがり(※閻魔様命名)、タフネスだけは地上級。
……けれど。
「……どこだ、ここ?」
目の前に広がるのは、満天の星々。
いや、“満天”なんて生ぬるい。
見渡すかぎりの宇宙。
しかも、異常なほどくっきりと、星のひとつひとつが、煌めいて見える。
なんなら、あの有名な三ツ星の“オリオンさん”が、目と目が合う距離にいる。
握手できそう。
「え? 宇宙? 宇宙に配属されたってこと?
いやいやいや、求人票には『下界に就職』って……!」
あたりは暗いけど、星が明るい。
いや、まて。
「俺、いま動いてる……? てか、速っっ!!?」
ガチでシャレにならないスピードで、どこかに向かってる。
どのくらいの速さかというと──
・ハトより速い
・音速超えてる
・下手したら「俺、今、光に追い抜かれた……?」レベル。
「ちょっと待って!? 俺、何になったの? 体が……ない? ある? てか、丸い?」
重力も空気もないはずなのに、不安が一切ない。
けど、焦りだけはある。
なぜなら。
目の前に──見覚えのある惑星が見えてきたからだ。
「え、あれ……地球? 地球!? いや、似てるだけ!? デジャヴ? リターンズ地球!?」
どんどん近づく。
いや、吸い込まれる?
やばいやばいやばい。
このスピードで突っ込んだら──
「衝突コースまっしぐらやんけえええええええ!!」
そして、光星(※物理)は気づいた。
──これ、再就職初日で死ぬパターンや。
と思った瞬間──
\\\ 突入 ///
──ブォォォォォオオオン(※大気圏突入SE)──
「アッツ!!! 熱ッつつつつつ!! 表面全部こんがり焼かれてる!!!」
なにが神配属だ、なにが人類への貢献だ。
地上に落ちるただの隕石やんけ。
就職からの即退職(粉砕)やんけ。
\\\ どーーーーーーーん!! ///
とてつもない衝撃と共に、彼の(物理的)着地は完了した。
辺りは火の海。
海は蒸発。
空は赤く燃え──
この惑星に、絶滅の時代が訪れる。
だが、それでも。
彼の魂は、消えていなかった。
いや、むしろ──
彼はそこから始まったのだ。
“石”として。
転がることもなく、静かに、ただそこにあった。
風に削られ、雨に打たれ、獣に踏まれ、火山に埋もれ、また顔を出す。
だが、どれほど時が経っても、彼の“意識”は──存在していた。
その年月、実に──
\\\ 35億年 ///
そして。
誰も気づかぬその地に、小さな街ができた。
街の人たちは、自然とそこに祈りを捧げるようになった。
──「願い石」と呼ばれた、それは。
「……まさか俺、“御神体”として崇められてないか……?」
動けない。
しゃべれない。
けど、なんかすごく拝まれてる。
勝手に。
こうして、“石の御神体”としての勤務が始まったのであった。
次回、『動けない。喋れない。けど、聞こえてる。』へ続く!
第2話にして、転職人生の行き先が「宇宙 ➜ 隕石 ➜ 地上激突 ➜ 石」って、
なかなかスケールと業務内容のギャップがすごい展開になりました。
でも、ここから“奇跡”が始まるんです。
動けないなら、動ける誰かに届ければいい──そんな不思議なお仕事が、石の彼を待っています。
次回、地元の人に神扱いされ始めて戸惑う“石”回をお楽しみに!