第16話 神?いや石さん、バチ祭りの主役になる
前回、暴走した“バチ耐性試し”を見た常連のおばあさんが、
「祭りみたいで賑やかだったねぇ」と何気なく言った。
──その一言から、とんでもない計画が動き出すことになる。
「祭りみたいで賑やかだったねぇ」
夕暮れ時、常連のおばあさんがぽつりと言ったこの一言。
俺は「いやいや、あれは騒ぎすぎだろ」と心の中でツッコんでいた。
……のだが。
翌日、磐座前に来た近所の若者たちが話していた。
「昨日の石さん、面白かったな!」
「おばあさんが“祭りみたい”って言ってたぞ」
「じゃあ、本当に祭りにしちゃおうぜ!」
おい待て、話が飛びすぎだ。
数日後──
「第一回バチ祭り開催!」という手書きポスターが商店街に貼られていた。
イラストの中心には……俺。
注連縄と紙垂がやたら豪華に描かれ、後光まで差している。
当日。
俺の周りには、屋台、提灯、太鼓。
完全に夏祭りの光景だ。
「バチに負けるな!」という掛け声のもと、みんなが俺の前で何かしら挑戦していく。
「石さんの前で二重跳びチャレンジ!」
「片手逆立ちでお願い!」
「石さんを直視しながらおにぎり早食い!」
……何このバラエティ番組。
参加者が成功すると「ご利益あり!」の札を首から下げられ、
失敗すると「バチが当たった!」と笑われる。
俺、完全に見世物じゃないか。
だが、子どもから大人まで笑顔で挑戦している様子は、
正直ちょっと微笑ましい……いや、石だから表情ないけど。
夕方、おばあさんがやってきて、俺の前で手を合わせた。
「石さん、まさか本当に祭りになるとは思わなかったよ。
でも、あんたが主役でみんなが笑ってるの、いいねぇ」
……まあ、悪くはない。
信仰度もなぜか爆上がりしてるし。
ただ一つ心配なのは──
この祭り、来年もやる気満々らしいことだ。
常連のおばあさんの何気ない一言から誕生した「バチ祭り」。
笑いと挑戦が入り混じる賑やかな一日は、石さんの信仰度を一気に回復させた。
次回は、この祭りをきっかけに、
外からも参拝者が押し寄せてくる“観光スポット化編”に突入予定です。




