第14話 神?いや石さん、怖いもの見たさで大人気になる
「石さんはバチを当てるらしい」──そんな根拠のない噂が街に広まってしまった。
信仰度は下がったはずなのに、なぜか今日はやけに人が多い。
……え、これ、怖いもの見たさってやつ?
「バチを当てる石」という噂が広まって数日。
参拝者は減った……どころか、今日は朝からやけに人が多い。
俺の前には、子どもから大人まで色んな顔ぶれ。
中には友達を引っ張ってくる者までいる。
「ほら、あの石だよ!」
「近づくと呪われるってやつ?」
「いや、バチが当たるらしい」
……おい、尾ひれがついて呪い石扱いになってるじゃないか。
しかも皆、やけに距離をとって俺を囲んでいる。
手を合わせる者もいれば、半笑いで肘でつつき合う者も。
なんだこれ、肝試しイベントか?
そんな中、一人の若い男が勇気を出したように近づいてきた。
そして、やたら大きな声で願いを叫ぶ。
「石さん! 明日も元気で生きられますように!」
……なんだその安全第一みたいな願い。
もっと普通に頼めよ。
俺は(念話モード、オン)で返す。
「心配するな。明日も生きられる」
男は「おお……!」と感動して帰っていったが、
その様子を見ていた周囲がザワつく。
「……今の人、呪われなかった?」
「もしかして、バチって選ばれた人にしか当たらないんじゃ?」
いやいやいや、そんなシステムないから。
昼を過ぎる頃には、さらに人が集まり、
「バチ耐性があるかどうか試す会」みたいな空気に。
俺の周りで「じゃあ次は俺!」「いや私!」と順番待ちまで発生した。
結局その日、参拝者数は過去最高を記録。
信仰度もなぜか一気に回復したが……方向性がおかしい。
夕暮れ、常連のおばあさんが一言。
「石さん、怖い顔してないのに怖がられるのも大変だねぇ」
……俺、顔ないけどな。
まあ、明日もきっと、誰かが怖いもの見たさで来るんだろう。
噂が悪評から好奇心へと変わり、「バチを当てる石」は一躍人気スポットに。
信仰度は回復したものの、理由が理由だけに複雑な気分。
次回は、この“バチ耐性試し”がさらにエスカレートし、
予想外のトラブルを呼び込む回になる予定です。




