第12話 神?いや石さん、商人バトルの仲裁をさせられる
商売繁盛のご利益(?)で参拝者が急増中の俺。
今日も商人たちが長蛇の列を作っているが……なぜか空気がピリピリ。
まさかの割り込み騒動から、俺は“仲裁役”にされるハメに!?
縄と紙垂を巻かれた俺の前には、今日も商人たちの行列。
もはや「商売繁盛の神様(仮)」として完全に定着してしまった。
……いや、俺は石だってば。
朝から並び、順番を待つ商人たち。
最初のうちは平和だったのに、今日は空気がピリついている。
「ちょっと! あんた割り込んだでしょ!」
「いや、俺は昨日の続きだから前に行っていいんだ!」
おいおい、神前(石前?)でケンカすんな。
紙垂がバサバサ揺れて落ち着かないじゃないか。
ついには別の商人が声を張り上げた。
「石さんは俺たち全員の味方だ! 順番なんて関係ない!」
いや、関係あるから。てか俺、味方とかじゃないから。
もみ合いになりかけたその時──
(念話モード、オン)
「商売は信用第一。順番を守れない者は、信用も守れない」
……と、ちょっと格好いいことを言ってみた。
すると全員が一瞬固まり、互いに視線を交わす。
「……そうだな、石さんの言う通りだ」
「信用が落ちたら、商売も落ちるしな」
おお、思ったより素直。
俺、今日ちょっと“それっぽい神様”っぽかったかも。
……と思ったら、今度は別の問題が発生。
「じゃあ信用度を石さんに判定してもらおう!」
「いいね! 一番信用度が高い商人から参拝しよう!」
おいおいおい、俺にそんなスキルはない。
てか信用度ってどうやって測るんだよ。
石占いとか始められても困るんだが。
結局、「今度からは毎朝くじ引きで順番を決める」という案で落ち着いた。
それはそれで信仰度は下がらなかったが、なぜか“石さんは公正な神様”という噂が広まり、
ますます参拝客は増える一方。
……平和になったようで、また忙しくなりそうだ。
順番争いから商人同士のケンカ勃発。
念話でそれっぽいことを言ったら、なぜか「公正な神様」扱いされ、
ますます参拝者が増えるという、嬉しいような迷惑なような結果に。




