第11話 神?いや石さん、商売繁盛の相談を受ける
四角関係の修羅場も終わり、やっと平和な日々……と思ったら、
今度は腰の曲がった商人のおじさんがやってきた。
お題は「商売繁盛」。
……俺、石だぞ? 商売経験ゼロだぞ?
縄と紙垂を巻かれ、今日も雨ざらしの俺。
四角関係の修羅場も終わり、ようやく平和な日々が戻ってきた──はずだった。
コツ、コツ、とゆっくり近づく足音。
現れたのは、腰の曲がった小柄なおじさん。
手には帳簿らしき分厚い本、顔には疲れがにじみ出ている。
「……石さん、お願いがあります」
(お、恋愛じゃないパターン来たか)
「うちの店、さっぱり繁盛しないんです。どうしたらいいですかねぇ……」
……いや俺、石だし。商売経験ゼロだし。
でも放っておくのもなんだし──
(念話モード、オン)
「客が来たら、まず笑顔で迎えろ。商品より先に、人の心を掴め」
おじさんは一瞬ポカンとしたが、
「なるほど……やってみます」と深く頭を下げ、ゆっくり帰っていった。
──翌日。
またおじさんがやって来た。
表情が昨日より明るい。
「石さん! 昨日来た客が、今日は友達を連れてきました! 笑顔ってすごいですね!」
いやそれ、普通に商売の基本だと思うけど……まあ良かったな。
それから数日、おじさんは毎日参拝に来ては報告。
「石さん、客が倍になりました!」
「仕入れが追いつかないくらい売れてます!」
……あれよあれよで、店は商店街の話題に。
そして今日、俺の前には──
ズラッ。
商人らしき人々の行列。
なんだこの異様な光景は。
「あの人が石さんのご利益で繁盛したんだって?」
「俺もお願いしたい!」
おいおいおい、俺いつの間に商売の神様ポジションに?
でも中には怪しい奴も混ざっていた。
「石さん、儲かる方法を教えてください。ちょっと“値段をふっかける”感じで……」
おい、それはアカンやつ。
(念話モード、オン)
「欲をかきすぎると信用を失うぞ」
怪しい商人はムッとした顔で帰っていったが、まあいい。
俺の信仰度は商人たちのおかげで確実に上昇中だ。
……ただ、参拝の列が長すぎて、近所の人が参拝できない状態になっているのは問題かもしれない。
石の世界にも、“順番待ちトラブル”ってあるんだな……。
恋愛相談から一転、今度は商売繁盛の神様扱いに。
笑顔アドバイスで店は繁盛、気づけば商人たちが列を作る人気スポットになってしまった。
ただ、参拝者の中には怪しい商人も混ざり、近所の人も参拝できない状態に。
次回は、この“行列問題”が新たな火種になる……かもしれない。




