第108話 子ども神輿、大人も混ざるとこうなる
盆踊りの熱気も冷めやらぬうちに、次は子ども神輿の出番。
境内を練り歩く元気な掛け声が響く——はずだったのだが、またしても大人組が黙っていなかった。
「よーし! いくぞー! わっしょい!」
子どもたちが元気に神輿を担ぎ始める。
小さめの神輿とはいえ、木枠は本格的。
石さんの監修で作られた特製神輿は、やけにキラキラ光っている。
そこへミクさんが駆け寄る。
「私も担ぎたいです!」
「いや、これは子ども用だから——」
「じゃあ応援団で!」と言いながら、なぜかカフェのメニュー表を旗にして応援開始。
「スイカスムージー半額ー! わっしょい!」
(販促か!?)石さん、心で叫ぶ。
さらに南さんが現れる。
「神輿の掛け声、もっと統一感を出しましょう」
「わっしょい、でいいんじゃ?」
「いえ、神楽調で『そーれ!はっ!』と…」
掛け声がやたらリズミカルになり、子どもたちがつられてダンス状態に。
途中、神輿が広場に差しかかると、ミクさんが突然「給水所オープン!」と叫び、カフェの冷やし抹茶ラテを配り始める。
「それ重くない?」
「重いです!でも祭りは重いくらいが楽しいんです!」と笑顔で全力疾走。
南さんは太鼓を打ちながら併走。
「神輿は心で担ぐのです!」
しかしあまりに太鼓が熱くなり、子どもたちもテンション爆上がり。
「わっしょい!そーれ!はっ!」が境内に響き渡り、参拝客まで混ざって行列に。
最終的には、予定ルートを大幅にオーバーし、商店街まで神輿が進出。
「お祭りってこんなに長かったっけ!?」と石さんが呟く中、
子どもたちは笑顔、ミクさんは完売、南さんは「この太鼓、来年は倍の大きさに」と謎の宣言。
こうして子ども神輿は、もはや境内イベントではなく“街ぐるみの大行進”に進化したのだった。
——苔のむすまで。




