第105話 花火大会の準備は火薬の香り
御神輿も完成し、次なる一大イベントは——夏の夜を彩る花火大会!
境内はすでに火薬の香りでワクワク感が充満していた。
「花火って、どこで打ち上げるんですか?」
ルカちゃんが尋ねると、ヒデさんが得意げに地図を広げる。
「こっから山向こうの河川敷だ。安全距離もバッチリ」
(って言ってるけど、この人、去年は線香花火で指焦がしてたよな…)石さん、御神体から心のツッコミ。
境内の片隅では、花火師さんが黙々と準備。
木箱を開けると、中から色とりどりの玉がゴロゴロ。
ルカちゃん:「これ…大きいみかんみたい!」
リサさん:「食べたら一瞬で天に昇るわよ」
「それは物騒すぎる!」とクミコさんが笑い飛ばす。
広場では屋台の配置も決まり、ユキさんは「焼きとうもろこし担当」を自ら志願。
「筆じゃなくて串を握るのも悪くないねぇ」
「…ユキさん、それ焦がしすぎじゃ」緒方さんが小声で指摘。
(味のある字の次は、味のある焦げ目か…)石さんの冷静な観察は止まらない。
子どもたちの遊び場にも変化が。
新設されたブランコやすべり台の横に、「水風船釣りコーナー」が登場。
ルカちゃんが試しに挑戦するが、勢い余って水を全身に浴びる。
「涼しい! これ、夏にぴったりですね!」
(いや、風邪ひくぞ…)と心配する石さんの声は届かない。
夕方、花火の試験点火が行われる。
「では——三、二、一、点火!」
ボンッ! と小さな花が夜空に咲き、拍手が起きる。
だが次の瞬間、花火師さんが眉をひそめた。
「んー…少し湿気てるな。火薬を乾かさなきゃ」
そう言って、花火玉を境内の日向にズラリと並べる光景は、どう見ても物騒。
「…これ、参拝者が見たら事件だと思われません?」クミコさんが心配そうに囁く。
その横で、ヒデさんがこっそり線香花火を持ち出して遊び始める。
「おい、それは最後の締め用だって!」緒方さんが慌てて取り上げる。
(ほんと、この人の火薬好きは筋金入りだな…)石さん、呆れつつも笑みをこぼす。
夜が近づき、全員で提灯を飾り付け。
赤や黄色の明かりが境内を彩り、盆踊りの櫓もライトアップされる。
「これなら花火の夜、最高になるね!」ルカちゃんの瞳はキラキラ。
「苔のむすまで——」
(でも火薬の横に苔は生えないな…)石さんは、ひそかに突っ込んだ。
こうして花火大会の準備は着々と進行。
次回、ついに打ち上げの夜がやってくる——。
苔のむすまで。




