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Exhaust  作者: あばると
Chapter.1 白翔馬の覚醒編
7/20

1-7 必要な事

あばるとです。

そういえば、「あばるとって名前ってことは、アバルトの車が好きなのでは?」

と、思う方いますよね。残念。アバルトには詳しくもないし、別に好みでもありません(アバルト好きの方ごめんなさい)。走行性能はいいみたいですけどね...。あ、でもあれは好きですよ。

アバルト 128スパイダー。あれかっこいいですよね。

日曜日、午後2時30分。「ここ、どーしたらいいかな。ユーさん。」五十嵐は、SK-AutoTecのガレージにてFDのチューニングを行っていた。「ここはね、シールが削れてっていっちゃうから...。」昨日のバトルにて敗北したFDに、満足しなかったのだ。赤田は五十嵐が自分から車をいじりたいと言い始めた事が少しうれしかった。だが、五十嵐の不器用さに少し困っていた。

「気分転換に、少し走ろっか。環状線に出るよ。」五十嵐は赤田についていった。「FD出す?それか他のワークスでも...。」「いや、助手席でいい。わざわざ車を2台も出すほどじゃないよ。」ガレージ前の駐車場に停めてあった、赤田のS15シルビアに2人は乗った。「さぁて、五十嵐君。ここからは走りに対してのセミナーよ。私の技、好きに盗んでいいよ。速くなってくれればね。」

S15からはRB25のエンジン音が鳴り響く。ガレージにいたSK-AutoTecのメンバーは、その音に聞きほれていた。「よし、行こうか!」シルビアは、ドリフトをしながらSK-AutoTecを出る。環状線に乗るまで、赤田は五十嵐に話す。「昨日のバトル、負けたんだって?責めるつもりはないけど、もっと走りこまなきゃ。」五十嵐は不服そうに言った。「やっぱ、悔しいよ。負けるってのは。」

赤城は少し気まずそうだった。シルビアはそんな空気感に関係なく、走り続けた。そして、2人は環状線に乗った。「...そうこう話しているうちに、もう環状線よ。しっかりとみておきな。あなたが勝つために、私もちゃんと教えるから。」シルビアは昼の環状線を駆け抜ける。コーナー1つ1つの動きを、五十嵐は正確に分析した。「右の後S字...右コーナーの立ち上がりはノンブレーキでいいな。」

赤田は少し考えた。(...なんでこんなに分析できてるのに、負けたんだろう...。走行中は分析に集中できないのかな。)名古屋の街のビルが、太陽の光を反射する。その光が、シルビアのミラーに反射したその時だった。車が2台後ろから迫ってきている音がした。「何か来てる...でも走り屋の車でも追い越したかなぁ。」赤田は頭を掻きながら思い出した。

だが、ミラーに映ったその姿で確信した。「赤のZ33...いや、Zなんて追い越してない。じゃあ、追いついてきたのか!」赤いZ33のエキゾーストからはVQ37のエンジン音が鳴っている。「VQ37のZ33...スワップマシンか!フン!本気度高いね!」赤田はZ33の動きに集中し、ブロックしようとする。だが、五十嵐がふとサイドミラーを覗くと、そこにはもう一台、白い何かがついてきていた。

「ユーさん!もう一台、後ろから来てる!」赤田も、サイドミラーを見る。赤田は驚いた。「ハハッ!いいねぇ!そっちから来てくれるとは!白翔馬(ホワイトペガサス)!」Z33の後ろには、まるでZの守護者のように、桜井の2000GTがいた。桜井は無線で杉野にこう伝える。「あれ、SK-AutoTecのリーダーのワークスマシンだよ。めっちゃ速いやつ!」杉野は怖気づいてしまう。

「えぇ?そんな奴、俺らで撃墜とかできるのかよ桜井...しかも2000GTなんて400馬力足らずだろ?」「ここじゃパワーはこの程度でいい。とにかく、やってみるしかない。行くぞ!」2000GTが前に出て、赤田のシルビアをアタックしに行く。「来た...さて五十嵐君。君なら、この状況どう対処するかな?」五十嵐は少し考えた。「まず、相手が2台いるからブロックは不可能と言っていい。」

「うん。確かにそうだね。続けて。」五十嵐は赤田の言う通り、分析を続けた。「まずは1台先を行かせ、その後ろにつく。ここで後ろにいるもう一台をブロックしてもいいし、前の車の後ろにつき、追い抜いてもいい。ただ、後者の場合は空気の壁に負けるから、おすすめは前者ってとこ。で、後ろのヤツが引いたら前に集中って所かな。当たってる?」

五十嵐は分析した結果を赤田に評価してもらう。「うーん、80点!」五十嵐は、思っていた点数より低いことに驚いた。「え!?80!?え、何がダメだった?」赤田は2台の加速に負けない走りを見せながら、五十嵐に解説する。「①。相手のマシンの特性を考慮してない事。相手がどう動きをしてくるのか、相手のどっちが厄介か。これの見極めがないから-10点。」

後ろにいた桜井は杉野に質問する。「...なぁ、あの15なんか変じゃないか?」「ね。ずっとハザード付けて、待って欲しそうにしてる。マシントラブルでもあったのかな...?」シルビアは約120km/hで巡行している。「②。コースの特性を踏まえていない事。環状線は、ガソリンがある限りはずっと走れる場所。詳しく言うと、殆ど止まることがない訳。」

五十嵐は赤田の発言に頷きながらメモを取った。「そんな場所でブレーキを踏むのはリスキー。ブレーキを踏まずにうまく切り抜ける策を考えないといけない。ブレーキを踏むっていうことは、自分から負けに行くのと同じくらいリスキーなんだよ。その状況を考慮してないから、まぁ、-5点くらいかな。そして、一番大事なのは③。」五十嵐は赤田の方を見て、最後のアドバイスを聞いた。

「自分の車の特性を考慮していない事。今回はこのS15。RBに載せ替えてるからこそのパワーなんだけど、その代わりにSRよりも何十kgと重いんだよね。それが理由でフロントヘビーになって、ターンインがしにくくなってしまった。それに、NAで500馬力は出るこのエンジンが、耐久戦では不利になる。ターボラグがない分、とある弱点がある。なーんだ?」

五十嵐は答えた。「...油温水温が上がりすぎてしまう。インタークーラーがないから冷やしにくい。だよね。」赤田はギアに手を乗せた。「正解。でも、今回は耐久戦をするつもりはないから、今回は気にしなくていいかな。言いたいことわかった?この点も意識すれば、100点の走りができるよ。ま、今はがんばれとしか言えないな。」赤田はまだギアに手を乗せたままだった。

「どんな車でも速くなれる。でも、速くなるには知識がいる。走ることに必要なのは知識と、そして一歩走り方を間違えると車は死に、自分の命に支障をきたすという理解よ。」赤田はハザードランプを消して、ギアを1つ上げた。「そしてもう一つ。君は速くなれる。それだけは覚えてほしい。さ!後ろの2人を待たせすぎちゃったね。よく見ときな!」桜井は、ハザードを消したS15に警戒を強めた。

「じゃ、君の実力を見せてもらおうか!桜井悠人!」「杉野!シルビアがハザード消した!来るぞ!」3人はそれぞれバトルの態勢についた。「...今!」赤田のシルビアはNAとは思えないほどの加速で、桜井らを放していく。「んっ...!」桜井の2000GTも負けじとシルビアを追う。桜井は、シルビアの圧倒的な加速に驚いていた。「一瞬で200km/hオーバー!?一体どんなチューンを!?」

赤田のS15と同じチューンドカーの筈の2000GT。2000GTに搭載されているM型エンジンをシングルターボで武装し、最高出力は420馬力を発揮する。パワーだけだと、杉野のZとタメを張るほどでしかないが、軽量化が施されており、それを踏まえて比べると、Zを千切れる程の速度を出せる。だが、赤田のチューンドシルビアには劣っていた。「クソッ、杉野!前でれるか!」

「おう!こいつのパワーなら、きっと前に出れる!」杉野はアクセルを床まで踏み込み、赤田のシルビアに追いつこうとする。(...あっちの作戦は、ストレートでケリをつけるつもりね。こっちが不利なことを悟られたって所か。)赤田のシルビアはNAで、冷却機能が十分にいきわたっておらず、エンジンが熱くなりやすいことを、桜井はターボの音がしないことから悟ったのである。

赤田にとって、この状況は不利でしかなかった。だが、(...だけど、まだ負けたって決まったわけじゃない。2台まとめて墜とす!)赤田は水温が上がりすぎていることをわかっていながらも、アクセルベタ踏みという判断を下した。一歩間違えればエンジンブロー、そんな状況下にもかかわらずの判断だった。「五十嵐君。多分、この車は今日限りで死ぬ。この車の最期をよく見ておきな!」

シルビアのエンジンから、「プシュー...」という音が聞こえてきている。だが、シルビアは桜井や杉野を放していく。『桜井!シルビアの後ろにつけるぞ!』杉野からの無線に、桜井は叫んだ。「よせ!今後ろに並んだら...まずい!」

余談というか、説明忘れ。杉野のZ33のエアロについて。購入時はフルノーマルだったんですが、

杉野の趣味でCHARGE SPEEDさんの撃速ワイドボディ仕様に変更されています。

エンジンには全く手を付けていません(オイルとかは交換している設定ですけど)。

それだけです。以上、あばるとでした。

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