3-15 2人の意地
あるとです。
最近また懐かしいゲームを見つけたので
やり込んでるんですが、
チューニングの幅が中々に広いので、
軽自動車で300km/hとかいけるんです。
頭がおかしいよマジで。
「──じゃあ、俺は少し車に。」「分かった。おやすみ。」そう言うと桜井は、2000GTの中に入って眠りについた。
「……レベルの高いドライバーは、みんなマイペースなのかな。」「え?」南場はそう呟いた水原の発言が気になった。
「走り屋の中で速い人たちって、みんな自分にルーズなやつが多いなって。桜井くんやARTSの人達……それ以外でも速い人たち。皆、自分の好きなように生きてるなって気がしてさ。」
水原の話を聞くと、今まで見てきたプロたちの生活などが、水原の考察に完全に当てはまっていた。
「……確かにそうだね。自分の体調とか、やっぱ万全な状態でレースに臨みたいとか、色々あるんでしょ。
でも、そういう人に限って、普通の社会のリズムに合わせないよね。もう合法なんだから、まっ昼間でもよくない?って話。」
「昔から続けてきた習慣を急に変えるのは難しいって事でしょ。……桜井くんって、いつから走ってんだっけ?」
「……いつからだろう。サーキットで、なら中学入る前からかな。そんくらいの頃から、もう深夜帯でのドリフトやってたから。」
水原は、桜井がハイパワーマシンを扱う上で、グリップが足らなくなってしまうからドリフトをしているのかと思いきや、桜井は小さい頃からドリフトを多用していた。
水原は小さい頃から走っているということが、どれだけ成長に欠かせない事かを思い知らされた。
「そう。本当に昔からなんだ。なら、あの速さは当たり前……か?」その気持ちを押し隠すように、そうポツリと呟いて話を終えた。
(……もしかしたら、桜井くんになら頼めるかもな、"アレ"。時名に似てるタイプのドライバーなら、今まで会ってきた中でも桜井くんが一番当てはまる。
時名も、桜井くんのドラテクは目の前で見ている。それで十分、桜井くんの事はわかってるはず……レース終わりに聞いてみるか。)
(……どうして皆、電気自動車という存在を否定しようとするんだ……どうして!)
宮崎春雄は、愛車であるテスラ モデルSでレースに参戦。現在、1位で荒津大橋上を走行していた。
そして宮崎は同時に、走り屋という世界での、電気自動車の扱われ方について、苛立っていた。
(なぜ……速さを求める走り屋の世界で、EVは否定されがちだ……EVは全部同じような見た目でダサいだの、EVは重いし遅いだの……まるで進化していない、と。
みんな、そう言って否定してきた。だが、いつまでも時代に取り残されているお前達……古走屋に言われたくはない。
それに、EVだって3年もあれば進化はするさ……それを、この場で見せつけ、教えてやる。1位優勝は僕達だッ!)
独白を終えると宮崎は、2位で後方を走るデ・トマソ パンテーラを一気に突き放す。「な、速すぎだろあのテスラ!?クソッ……所詮EVが、まだ出てくんのは早えんだよ。
まだガソリン車の時代は終わらせねぇ!」西公園出口の手前、バンク付きの右カーブ。そう言い、張り切って宮崎に追いつこうとするパンテーラのドライバー。
が、パンテーラのミラーに、後方からもう1台、何か速い車がやってくる姿が映った。東條の930ターボだ。
東條は香椎ストレートで、1位との差を5秒にまで縮めるほどのハイペースで走っていた。この時点で東條は、集中力が少し落ちてきている。
(東條さん、もう追いついたのか。)(な、アイツ!?)東條が、異常なまでの追い上げを見せる。(このコーナーを抜けたらもうこっちのもんだ。百道ストレートで一気にぶち抜く!)
みずほpaypayドーム福岡のすぐそばで、930ターボはパンテーラの真後ろにつく。
(こんな所で横に並ぶか。こっちは490馬力のMRだ、ポルシェよりもバランスがいい。コーナーなら負けねぇ!)
(……ココだ。)ストレートに出た途端、東條が横に並ぶ。「な!?」(俺は、ストレートで抜くことに抵抗はねぇ。俺だってバカじゃねえからな、自分の車の事は、自分が一番よく知ってるんだッ!)
東條の930ターボは、今回のレース用にリセッティングされている。元々は広島高速1〜3号線用のドリフト中心のセッティングにしていた。
今回は、低速コーナーでのドリフト用のハイギアと、ストレートに出たときの加速用のローギアの2つのタイプを同居させているギアセッティングに変更している。
このような変更により、古い設計のボディながら、スーパーカーにストレートでも負けないような加速、最高速性能を発揮できるようになっていた。
(クソォ……こんなとこで負けられっかよ。半身だけでも前に出てしまえばこっちのモン。絶対前に出させねェぜ!)「……。」
サイド・バイ・サイドの状態で、2台がコーナーにたどり着く。そこで前に飛び出たのはパンテーラだった。
後ろにエンジンがある車特有のステアリングの軽快さを前面に出し、完璧なグリップを見せるパンテーラ。
だが、東條は少しオーバースピードでコーナーに突っ込む。オーバーステアを両手で抑え込みながら、ドリフトに移行。どんどんアウトに寄っていく。
(ぶつからない、車1台分のスペースが空くくらいまでラインを膨らませて、コイツの体勢を整える。パンテーラの奴が、俺が近づいてくる恐怖心に耐えられるか、見ものだな。)
パンテーラのドライバーは、自分のラインにどんどん近づいてくる東條に驚く。(ざけんな、こっちに寄ってくんじゃねェッ!)
焦ったパンテーラのドライバーは、東條とぶつかる事を恐れてブレーキを踏み、930ターボとボディがぶつかる寸前ギリギリの所で、2台はコーナーを抜ける。
この時、ドリフト走行で道路と同じ向きを、フロントが向いていた東條の方が有利だった為に、加速勝負でもパンテーラに勝っていた。
一気にパンテーラを引き離す930ターボ。(ま、そこまでのドライバーだったワケか。さて、次は宮崎……やっぱり速ェな。)
テスラ モデルSの加速はとても速い。2つモーターによる4WDシステムは、昨今のガソリン車の4WDを寄せ付けない速さを誇る。
それに加え、宮崎のテスラは安全装備を徹底的に排除している上、バッテリー容量も半分程になるように外している。
重量バランスが元と変わるものの、十分な軽量化が出来た。そして、その車を持ち前のグリップ走法で走る。それが宮崎のスタイルだった。
(……EVにしては軽い動きをするな。流石、ここまでの軽量化に持ってくるとは。)東條は後ろから宮崎の走る姿を眺めながら走る。
ストレートでも、東條は格上相手にアドバンテージが広がらないような速さを見せた。(野芥ストレート……ここで300km/hを狙う!)
930ターボは一気に加速。モデルSと差を縮める。スリップストリームの効果も相まって、300km/hを出すのは余裕だった。
(このまま前に出たいが、まだ難しそうだな。まだあと2kmはあるだろうし、下手に前に出ようとしてスリップストリームを離れられない。やりにくいな。)
野芥出口を過ぎてすぐ、差を詰めた930ターボは、モデルSのリアバンパーを軽く掠める。
(チッ、速いけど、しつこい人だ……悪いけど、そろそろ離れてもらおうか!)2台はドッグファイトを続けていると、ついに全長約750mを誇る、福岡高速福大トンネルへ突入する。
ここで宮崎のモデルSに搭載されたDRSが作動し、トンネルにはいる前よりもスピードがガクンと上がる。
その速さに、930ターボは置いていかれそうになる。(速ェ、F1の技術は伊達じゃねえってか!)
アナログな930には、そんな高度なものは当然、搭載されていない。だが、東條は絶対に宮崎に逃げ切らせるつもりはなかった。
(本当にしつこい人だ、東條時名。なぜあなたは古い旧車で戦うんだ……なぜ古走者でいるんだ……なぜだッ!?)
(逃さねぇって決めたら意地でも逃さねぇ。俺は、1位になって金を手に入れる。全ては、"アイツ"に追いつくために!)
私は、自分の考えることを
作品内に落とし込むことがあります。
今回に関してはEVの扱われ方の話ですね。
EVだってカッコいいし、活躍できると思うんです。
なんでみんな嫌うんでしょうか。疑問ですね。
以上、あるとでした。




