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Exhaust  作者: あると
Chapter.3 カーボンランナー編
46/47

3-11 作戦

あるとです。

テスト期間が入ってしまい、

勉強に専念する為に投稿を1週間遅らせました。

本当すみません。

次は多分早めに出します。

「んで……作戦はあるのか、桜井?」次の日の朝、東條と水原は南場家に集まってレースの作戦会議をしていた。


東條は桜井にそう聞く。「あんた達、結構図々しいのね……。」「ごめんネ、南場ちゃん。時名のバンパー直すついでに、って事だから。」


桜井は会話に交じって口を開く。「一応……俺が先行で出ます。俺が攻めまくって前に出て、東條さんがその地位を守る。俺、逃げが苦手なもんで。」


「確かに、得意な事を生かして戦うのは理に適ってるよね。」水原が頷きながら言うと、東條は腕を組んで一度考え込んだ。


「前へと攻める役が桜井、それにより生まれた地位を守る役が俺……ってわけか。だがその場合、桜井自身に掛かるプレッシャーが半端ないぜ。


俺とバトンパスするときに、できるだけいい成果を残そうと焦ったら終わりだ。こういうのは本能的にというか……やっぱり無意識にやってしまう。」


桜井は一瞬だけ視線を落とし、それから東條を見た。


「……そこは、分かってます。」


静かな声だったが、迷いはなかった。


「だから俺、"前に出ること"だけに集中します。差を広げるとか、相手を撃墜すとか、そういうのは考えない。」南場が眉を上げる。


「それ、逆に難しくない? 前に出たら普通は欲が出るでしょ。」「出る。」桜井は即答した。


「、欲が出た瞬間に終わるのも分かってる。だから、東條さんが後ろにいるって事だけを意識する。」


水原が小さく息を吐いた。


「なるほどね。"自分が主役だ"って思わないようにするわけか。」

東條は腕を組んだまま、しばらく黙っていたが、やがて口を開く。


「……分かった、それでやろう。」


「あとは……他のドライバーの情報ね。参加者の使う車の特性がわかってなけりゃ、やっぱ攻めきれないだろうし。」


南場は腕を組んで悩むと、水原が資料の束をカバンから取り出す。「それなら十分。ここに、ぜ〜んぶ情報がのってる。」


「呆れるな、ドライバーの血液型まで載ってんだ……使わねーだろうけど。んで、こん中で特に速いと思うのは?」


東條がそう聞くと、水原はテーブルに広げた資料から漁り、2枚の紙を探し出す。「ドライバーAこと宮崎春雄(みやざきはるお)。それと、ドライバーBこと大塚義昭(おおつかよしあき)の2人が、厄介かな。」


東條の目に留まったのは、宮崎春雄というドライバーだった。「へぇ、テスラモデルSで700馬力……もしかしたら初めてになるかもな、電気自動車が相手ってのは。」


水原は淡々と続ける。「宮崎は直線番長。テスラ特有の即トルクで、0〜200の伸びはトップクラス。最高速度も320km/hと申し分ない。ストレートに出られたら、まず勝ち目はない。」


「なら、その前にケリをつけてやるだけだな。次、大塚。」東條は水原から資料を受け取る。


「ほ〜、348。しかもGTBときた。フェラーリ……ねぇ。」東條は何やら気に入らなそうな顔をする。


「なんか嫌な事でもあったんです?」


「まーね。数年前にフェラーリ乗りとバトって、車ボコボコにされたからな。あん時は、相手がカスすぎた……。」


「んで、何か弱点はないんですか?」桜井は昔の出来事に浸ろうとする東條を遮り、本題に戻す。


「……そうだな。348もテスラと同じで熱に弱いから、持久戦に持ってけば勝てるはずだ。直6よりもレスポンスが高いV8だが、お前なら何とでもなるだろ?」


「……何とか前に出てみせます。」桜井は少しダルそうな言い方で、そう言った。


南場が東條から資料をもらい、軽く読み進めていく。「……この資料、ホントに水原くん1人で作ったの?」


南場は読んでいくうちに、高いクオリティのこの資料を少年1人で作れると思えなくなってきた。


「こう見えてPC作業は得意なのよね、オレ。」水原は自慢気にそう語る。が、南場は軽く受け流す。


「へぇ……ん、何これ?」すると、南場はあるものを見つける。


「どれ?」「これ。」東條が顔を覗かせると、南場が指で気になった点を指す。


「えっと……『ルールとして、接触などの妨害行為は全てペナルティとはならない』?つまりは、無法地帯って訳か!?」


東條は頭を抱えて驚く。「へぇ、ぶつけるのOKなんだ……。」桜井は冷静にそう言うが、内心焦っていた。


(嘘だろぉ?もう2000GT傷つけたくないんだけど、最悪だ……殺し合いなんてしたくないんだけど……。)


だが、ルールはルール。今更、運営に文句を言いにいこうなんて、無理な話だった。


全員は仕方なく、新しい作戦を考え始めた。


最初に口を開いたのは水原だった。


「……ただし、全員が当てに来るわけじゃない。この手の無法ルール、実際に"使う"のは一部だけ。」


南場が即座に補足する。「特に宮崎。テスラは車重が重いから当ててもビクともしないだろうけど、バッテリー周りを壊したら即終了。接触=自滅だから、まずやらないでしょうね。」


東條は腕を組み直す。「大塚はその逆だな。348は軽いし、鼻先も入れやすい。追い詰められたら、絶対当てに来るタイプだろう。」


桜井は視線を落としたまま、短く息を吐く。「……じゃあ、俺が前に出た時に"当てに来る可能性がある"のは、主に大塚。」


「そうなる。」南場は即答した。水原が資料を指で叩く。


「まぁ俺の考えた作戦としては、"当てられたら当て返す、倍返し作戦"。」「なんか、どっかの銀行マンが言ってそうな作戦名だが……まぁ、理にかなってるのは確かだよな。」


東條は軽く鼻で笑った。


「お前はどうだ、桜井?」「……やるしかないんでしょ?ならやりますよ、その作戦で。」


東條はその返事を聞いてすぐに頷く。「よし……いい心がけだ。それじゃあ早速、練習走行にでも出ようか。」


東條は席から立ち上がると、ガレージの方へと向かう。「でも、930は今直してる途中だけど?」南場はそう聞く。


「……桜井の2000GTに乗せてもらうつもりだが?」


「……えぇ?」南場は東條の答えに驚く。「一度乗ってみたかったんだ。あのレースから、桜井の走りと車のポテンシャルに興味が湧いた。いいよな、桜井?」


桜井は少し考えたあと、静かに首を縦に振った。「……別に、壊さなければ。」


東條は静かに微笑み、すぐに2000GTのドアをあける。「キマリだ……それじゃあ、千代。お前のNSXも出して行こうぜ。隣に南場乗せてな。」


「アタシは別にいいよ。ココで待ってるからさ……。」南場は断ろうとすると、水原が煽る。「乗ってよ。何か勉強になること、あるかもよ?」「……分かったわよ。」


南場は諦めてそういい、水原のNSXの助手席に乗り込む。水原も共に乗り込むと、ガレージにC32Aのエンジン音が鳴り響く。


「すっごい音ね……。」「そーでしょ。」一足先に東條の乗る2000GTがガレージを出る。それにNSXも続き、環状線へと向かっていく。


合流路手前、2000GTが一瞬だけブレーキランプを灯す。その意図を汲み取るように、NSXも間合いを一定に保った。


「……合流、無駄がない。随分とキレイね〜。」南場は前方の2000GTを見据えたまま呟く。「まぁ、人の物なのもあるし。それと、車の様子見ってところかな。」


水原は淡々とハンドルを修正する。本線に入ると、2000GTはじわりと加速を始めた。「……随分といい加速だな、お前の2000GTは。」回転数は高くない。が、速度は確実に伸びていく。


「……速い。」南場が率直に言う。「けど、数値ほどじゃない。」

水原が補足する。「トルクの使い方が綺麗。アクセルを"踏んでる"ってより、置いてる感じ。滑らかだよね。」


コーナー進入も滑らかに行っていく東條だが、慣れないFRの挙動に少し不安があった。「……慣れないですか?」


「まぁな。そりゃあ、RRとは全く違う動きするし、加速の時も踏みすぎると無駄にするし。FRってアクセルワークがシビアなんだな。」


東條は軽くアクセルを戻し、エンジン回転を一定に保ったままコーナーを抜ける。「いい車だ。そりゃ、俺も負けるよ。」


「……ありがとうございます。」桜井は複雑な感情になった。桜井は、自分が走らせている時よりも、東條の方がずっと速く車を走らせていることに気がついていた。


一度レースに勝っているとはいえ、タイヤも使い込まれていたユーズドタイヤだった東條のポルシェ。


(もし、あの時ハイグリップの新品タイヤだったら……確実に負けてたはず。ちょっと、ショックかな……。)


桜井は気持ちを誤魔化すように、窓の外を見た。

水原のNSXはNA2型。

2000年型なのでリトラのNA2です。

なのでC32Aエンジンを搭載しています。

今のところホンダ車はエンスワしてないな。

以上、あるとでした。

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