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Exhaust  作者: あると
Chapter.3 カーボンランナー編
44/47

3-9 時名の930ターボ

あるとです。

遅くなりましたが、あけおめことよろです。

ちなみに、この作品の時系列では

まだ正月どころか12月にもなっていません。

ガッツリ11月中旬です。

「速い……なぜ、アソコまでのスタートダッシュを決めれたんだ、東條は?」


桜井達がスタートしてすぐ、南場は香椎ランプのすぐ近くの道路に車を路駐させ、来ていた本間や水原に話を語る。


「簡単よ、"トラクションのかかり方"に差があるから。FRはフロントにエンジンがあるから、スタートの時に荷重移動の法則で重さが後輪に寄りにくい。


でも、RR方式なら後輪の直ぐそばにエンジンと言う"バラスト"があるから、トルクがかかって後輪の滑りを抑えれる。だから、後輪にパワーを余すことなく伝えられた……。」


「お前板金屋だろ、そんな技術者キャラだったっけか?」いつもと違う南場の雰囲気に本間は困惑する。


「私だってある程度の知識はあるよ。まぁ、啓人さんにエンジンのことも教えられてたからなんだけどね。……あんたこそ技術職なのになんで知らないのよ。」


昔、まだ桜井啓人が生きていた頃、ボディだけやっても、エンジンを理解していないと意味がないと考えた啓人は、南場にエンジンの事を教えていた経験があった。




(エンジンってのは、複雑なように見えるが単純だ。ガソリンと空気を圧縮し燃やす場所、その空気を取り入れたり解放する場所、そしてそれを制御する場所。大まかに分けて3つだけだ。


簡単に表すと……レゴだと思えばいい。1、2、3の袋に分けられてて、それぞれを作って合体させる。それを電子機器につなげれば駆動もする。な、簡単だろ?パーツは嫌ほど多いんだけどな……。)




(なんて言ってたっけ……懐かしいな。)南場はふっと息を吐き、視線を再び香椎線へ向ける。「……ただね。本当に厄介なのは、そこじゃない。」「まだ何かあんのか?」本間が眉をひそめる。


「ええ。」南場は即答した。「RRは確かにスタートは強い。それに、リアに重量が集中してる分フロントが軽快になって曲がるわ曲がるわ、で……。」


「まさにいいとこ取りってわけだね。でもさ、やっぱりデメリットはあるよね。」水原は南場にそう聞く。「そう。RRの弱点は、"過度なオーバーステア"。


振り子の法則でリアに重量が寄るから、ボディが振られやすい。でも東條は、それを制御出来るほどの腕前だろうから、やっぱ侮れない。悠人にはそこを突いてキッチリ撃墜(オト)してもらわないと──ッ!」






現在、2台は香椎浜JCT手前を走行していた。(俺は、お前が信用できる走りをするかどうかを見に来たんだ。お前が前に来なきゃ意味がないぜ。ホラ、いけよ。)


東條はスタートダッシュで前に出たものの、桜井に道を譲った。(……。)桜井は3速で一気に加速し、東條の前に出る。(そうだ……お前の走りを見せてみろ。話はそっからだッ!)


東條が桜井に一気に近づき、猛プッシュを始める。「チッ。」桜井は東條のプレッシャーに耐えながら、自分の走りを進めていく。


香椎浜JCT。6号アイランドシティ線と合流する地点。2台はそこで200km/hに近い速度を出して走る。狙えれば300km/h。だが、2人はあえてその速度を出さなかった。


本当のバトル地点は環状。そこまではバトルではないと、2人はよく理解していた。(ウォームアップの時点で、相手の車の動き方……性格はよく分かる。


ホラホラ。こんな動きされたら、お前はどう動くんだ?)東條は桜井のすぐ真後ろで車を揺らしながら走る。


(後ろに行ったと思ったらフラフラと……中々、集中しにくいな。だけど、一度ここで突き放してやる。"信用"なんて、ストレートじゃなくてコーナーで見極めるもんだろーよッ!)


桜井は3速で速度を伸ばし、レッドゾーンギリギリの7500回転まで引っ張る。


(そりゃこんだけ(なげ)ーストレートだもんな、踏むなって言われてもやっぱり踏みたくなっちまうだろ。……それは、俺もだぜ。)


桜井が一気に加速したのを見計らうと、東條も彼と同じく3速で速度を伸ばしていく。(やっぱ速いか、ドッカンターボはッ!)


空力の点で優れている2000GTを余裕を持った上で追い回している東條の930は、桜井が離したわずかな距離をすぐに詰めていく。3速7000回転にはすぐに到達し、桜井を追い回す。


(確かに空力じゃ、丸っこいフォルムの2000GTが勝ってる……が、やっぱりパワーなら930のほうが出てる。逃さねぇぜ、桜井悠人!)


東條は桜井の後ろに張り付いたまま、離れない。そして、香椎ストレートも終盤に差し掛かる。


(このまま逃げ切れば環状に入る。そっからは俺が不利になる。できる限り離したいけど、パワーの差で追いつかれる。環状に持ち越しとか嫌だぜ俺!)


桜井は近づいてくる環状線に嫌気が差しながらも、ただ環状線に向かってクルマを走らせる。嫌でも、そこからが本当のバトル開始場所だと分かっていたから。


そして遂に、2台とも環状線に入る。「さて、始めようかッ!」


その瞬間、東條が桜井の横に並ぶ。オールクリアの状況で、彼の得意であるタイトで狭い路面はまさにチャンス。


その瞬間を逃さなかった東條は、一気にアタックする。「なんだ、さっきよりも圧倒的に速いだと!?」


一瞬の出来事に、桜井はなすすべなく東條を横に並ばせてしまった。そして迫る緩いコーナーの連続でオーバーテイクされ、順位は入れ替わる。


「チッ、やられたッ!」(甘いな……フツー、RR駆動はこういう路面は不得意だが……俺はコーナーが来るたびに出来てしまうオーバーステアを抑えて走ってる。


確かに速度は落ちるが、その落ちている速度でも戦えるくらいには、俺の車はパワーがあるんだぜッ!)


東條はコーナーで桜井の1mほど前に出る。その瞬間、一瞬930のリアが流れる。「──ッ!?」「リアが流れた……これはチャンスッ!」


桜井はこの隙を突いて抜き返そうとする。「……こんな所でくたばる程、俺は雑魚じゃないんだぜ」が、東條は何年も広島で走っていることにより鍛えられた腕前で無理やり車体を立て直させる。


(なっ、立て直した!?あそこまで車体が傾いてたら、フツー壁にぶつかるもんだ。なのに……クソッタレがぁッ!)桜井は東條の神業に驚きながらも、すぐに次のコーナーへ備える。


(220km/hは、思っていたよりもスピードが乗ってるように感じる……が、ここまでのダウンフォースとトラクションを有している俺の930なら、こんなもの朝飯前だ。


だが、それでもよく付いてくるもんだ。面……今まで走ってきた中でも、特に面白いバトルになってきたぜ。まだまだサイドバイサイドで行ってやる……俺の事、もっと楽しませてもらおうか、白翔馬ッ!」


2台は福重JCTの一歩手前まで、サイドバイサイドのまま走り続けた。すると、今までずっと桜井の横に並んで走っていた東條がアクセルを離し、桜井の後ろに並ぶ。


(ここで急ブレーキした後、Jターンで逆走……流石に横に並んで、は無理があるか。アニメじゃあるまいし。)


桜井がJターンをするためにブレーキを踏むと、そのランプに反応した東條も、0.3秒という短い時間もかけずにブレーキを踏む。「フン。」「くッ……!」


桜井は順位優勢のままヘアピンを曲がる。が、東條の出す余裕の雰囲気に焦り、少し立ち上がりに手間取ってしまう。(ミスった……集中力が切れ始めてきてる、急いでケリをつけなければ!)


その隙を見逃さず、東條は再び横に並ぶ。(この隙は逃さねぇぜ、白翔馬!)そして立ち上がり時のトラクションにより有利な東條が前に出る。見事なまでのオーバーテイクだった。


(ヤられた……ここまでメンタルに来る抜かれ方は、今まで無かった……。相手はずっとハイエナ狙ってたのか……チッ。だけど、今のオーバーテイクを、これをチャンスと見れれば!)






「RRの弱点?」「そう。」香椎ランプ。南場は、本間に桜井が勝てる幾つかの条件を教える。


「まず1つ。RRという個性的な駆動方式が、過度なオーバーステアを招く。ただ、東條くんならこれは腕でカバーできる。けど……。」南場がそう語ると、横で話を聞いていた水原が話を繋ぐ。


「もう走り始めてから10分。10分もガッツリ走ってればタイヤがキテいるはず。いくら時名がいい腕でも、カバーできる範疇にない。突くならばソコ……か。」


「そうね。ただ、多分集中力が切れ始めてるはず。彼から話を聞く限りは、今までのレースでは短期決戦とかしかやったこと無いらしくって。どっちに転んでもおかしくない。


この勝負、マジでいい勝負になってきた──ッ!」

東條のポルシェは934ルックと言いました。

が、934の外装をベースに、サイドフィンや

吸気/排熱もできるリアウイングなど、

NEXTECZチーム独自の加工を加えています。

水原のNSXは後々やります。

以上、あるとでした。

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