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Exhaust  作者: あると
Chapter.3 カーボンランナー
39/64

3-4 道場破り

あるとです。

過去の話に遡るんですが、

3Mエンジンのターボで400馬力って、

結構現実味がない話なのでは?と思ってます。

まぁ、言ったもん勝ちなのでこの世界。

次の日の昼。南場は汗をかきながら2000GTのボディを叩き、車体を滑らかに直していた。「ふぅ……案外パッと終わったね。」


南場の徹夜での必死な作業により、2000GTのフェンダーは+20mmのワイドボディが施行された。その他にもまだ直さなければいけない箇所はあるが、まずはそこを終わらせていたのだ。


(あとは、軽微な傷を直して塗装し直し……か。1日あれば終わるけど、何色がいいんだろ。やっぱペガサスホワイトかな?)南場は桜井の好みをあまり知らない。


なので、何色が好きかという事も知らなかった。桜井は丁度、昼食を食べに行っているため居ない。


(居ないのに悩んでも仕方ないし……私もご飯食べよう。)南場が席を立ち、リビングへ向かおうとしたその時。


「おい汐里ィ、いるか?」南場のガレージに本間が顔を出しにやってきた。「……本間クンさぁ、今やっとご飯食べれるとこだったのに。」


「ソイツぁ悪かった。あ、なら俺にも食わしてくれよ。」南場は本間の自由気ままさに呆れるも、ため息をついた後にリビングに招く。


「……そんで、何の用なのよ。アンタがわざわざ顔出してまで話しに来るって、よっぽどの大事って事じゃない?」


南場は冷蔵庫を開けて、材料を見ながら本間に聞く。


「そうだな……まぁ、連絡事項は主に2つ。1つは、あの西寺瑠璃からレースのお誘いが来た事。」


「……マジィ!?」


南場は突然の知らせに目を見開いて驚く。


「大マジよ。昨日の夜中、西寺と会ったんだけどさ。そん時に俺が負けたって言ったら、"あの子、面白いわね。環状に呼んで頂戴。"だってさ。」


本間は昨夜に会ったことを、南場に話す。






昨夜、博多駅前に来ていたラーメン屋の屋台。本間はレースが終わった直後、近くに来ていた屋台で小腹を満たしていた。「……居たのか、瑠璃。」


西寺が本間の隣の席に座る。「えぇ。あなた達の話少し聞いてたけど、負けたのね。」「……まぁな。知り合いの車がいたもんで、ちょっと煽って抜いたら、抜き返されちまった。」


西寺は本間が負けた中でも、初めて聞く敗北方法に驚く。「……いつものオーガ君らしくないね。」本間は箸を止めて、自分のR32に振り向く。


「フン……本気、出したつもりだったんだがな。」「そっか……大将、私も彼と同じの。」本間は再び、箸を持って麺をすする。


「……アグレッシブなフェイントドリフトを使って来るんだ。それも、ブレーキってのを知らなそうな顔でやるんだ。ソイツの顔が怖かったよ、結構。」


「へぇ、あの"福岡の鷹"が仕留められなかったと……その子の名前は?」西寺の興味深そうな顔に、本間は少し恐怖を感じる。


元最速である自分が、恐怖を感じて負けた相手に、真横にいる人間が挑もうとしていたら、無理もない事だった。


「お前、まさか狙う気かよ。」


「当たり前でしょう?私だって福岡で頭張ってたんだから、あなたの座は私が取り返す。まぁ、あなたに返す気もないけど。」


西寺はキッパリと言い切った。「……桜井悠人、18歳だ。」


「18……若いわね。その歳であなたを撃墜すほどの腕前の走り屋なら、生半可な仕掛けは通用しないわけだ。"その子、面白いわね。明日環状に呼んで頂戴"。」






「まぁ、会話の全文は大体こんなもんかな。」


南場のガレージ。本間は南場が出した野菜炒めを食べながら話した。「よく覚えてるわね、この会話……。」


「俺は物覚えだけはよろしくてよ……つまりの所、昨日の明日ってのは今日。西寺と悠人クンのレースは今日ってことだ。」


しれっと言った本間の言葉に、南場は驚愕する。「……今日!?」


「……あぁ、今日だ。夜中の11時に博多駅前集合だとよ。にしても意外というか、ビックリだよな。あの西寺サマが自分から戦いたいだなんて言うのはよ。」


西寺の自由奔放な姿を想像した南場は、頭を抱えて呆れ返る。


「一体何が起こっとんのじゃ全く……とにかく、悠人が帰ってきたらこの事を知らせなきゃ!」本間は野菜炒めをたいらげた後、ある提案を挙げる。


「お前らは"戦う"って選択肢を選んだ訳だな。そんなら、俺も少し手伝わせてくれ。」「……と言うと?」


本間は自分のR32のキーを南場に見せつけて言う。「バトルで使うクルマ、俺の32Rを使うってのはどーだ?」


その提案を聞いた瞬間、南場は盛大にむせた。「……はぁぁっ!?あ、あんた何言ってんの!?」


「悠人クンはお前のZで俺を撃墜したんだ。お前しか扱えないようなセッティングのZで、だぞ?


俺とのバトルで、32Rの特性を多少は理解(ワカ)っているだろうし、何より32RはZよりもパワーがある。今からZをチューニングしても間に合わないだろ。」


本間の正論に、南場はぐうの音もでなかった。「それに、西寺達の走りは"危険"だ。お前のZが傷ついちゃ困るだろ?」


本間は彼の口から聞くことはないはずの、危険という言葉を強調して話した。


「"危険"?」


「お前は西寺とバトったことねーから分かんないだろーが、マジで危ない走りをする。一歩間違えれば、一瞬でクルマがお陀仏な走りだ。それでいて速い……だから"危険"なんだ。」


キーを指で回しながら本間は語る。「その走りをされて、お前の大事なZが傷ついたらまずいだろ?だから、悠人クンには32Rに乗ってもらったほうが得策ってわけだ。」


「確かに一理あるけど……アンタはそれでいいの?」南場は本間のことが心配だった。今の話を聞いたところ、本間が大切にしているR32が傷つく可能性があるからだ。


「別にいいさ。俺はいくら壊れても、どーせ直しゃいいと思って走らせてる。いくらクルマが傷ついてもそうとしか考えねぇし、恨みもしないさ。」


意外にも、本間は快く快諾してきた。そして、南場は本間の理念を今、初めて知ることになった。


「それに、傷つくのが嫌だったら、こんな事提案しねーよ。鍵は置いてくから、それで走るよう伝えてくれ……それじゃ。」


本間はそう言い残し、南場のガレージを去ろうとする。「……美味かったぜ、お前のメシ。」「……ありがと。」


照れる南場をよそ目に、本間は自宅へと歩いていった。






「……って事ね。」


南場は練習から帰ってきた桜井に、本間の伝えた用件を教える。「そ。だから、悠人には本間クンの32Rに乗ってもらうよ。殆ど感覚は変わんないから、乗りこなせると思う。いいね?」


「おっけー……Zと似た感覚なら、代わりになりそう。それじゃ、10時になったら支度するわ……寝てくる。」桜井はベットへ向かう。「そう、おやすみ。」


南場は桜井にそう返し、2000GTを見つめ呟く。


「GT……君には走ってもらわなきゃいけない。嫌だと言っても、走り続けなければいけない運命なんだよ。だって、君は走るために生まれてきたのだから──。」






午後11時、博多駅前。桜井は本間のスカイラインを、待ち合わせ場所の博多駅前に駐める。桜井が降りて辺りを見回すが、"西寺瑠璃"といった感じの人物は見つからなかった。


「今日の午後11時……だよな?」すると、後ろから走り屋らしい爆音が鳴り響く。「……あれかな。」


そこにシルバーのFTOが姿を現す。車が止まると、中から桜井と同い年くらいの姿をした少女が出てくる。


「あなたが、西寺瑠璃さん……っぽくはなさそうですね。どちらさんで?」


「私は神宮三玲(じんぐう みれい)。西寺師範の道場の門下生です。遅れるそうなので、私が先に。」神宮は淡々と話す。何を考えているのか分からない、まさにポーカーフェイス。


「……31Zと聞いていたのですが、なぜあなたが本間さんの32Rに?」「いやぁ、ちょっと……壊したってわけじゃないんですけどね。」


桜井は隠し事が苦手だった。桜井は明らかに何か隠していると、誰もが分かる言い方で話してしまった。


「そうですか……。茶番はここまでにして、始めましょうか。あなたが師範の見込んだ走り屋なのか……師範が車での間、確かめさせてもらいます。」


「いいですね。俺も、福岡の女帝……そしてそのお気に入りさんがどれだけのドライバーなのか、気になります。」


2人の間に、静かながらも強い闘争心が表れた。


「では、行きましょう。コレは単なる慣らし走行のようなモノですが、私のFTOは4WD化が施されてる上、MAX450馬力が出せます。くれぐれも、置いていかれる事のないように──。」

今回の話では何かしらの料理が

2つも登場しましたね。

こういうのをかき集めて、

いつかExhaust飯として確立させてやりたいです。

以上、あるとでした。

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