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Exhaust  作者: あると
Chapter.2 ファーストステップ編
17/24

2-2 新たなる敵

あばるとです。第2話です。

最近夏季休暇に入りまして、

暇な時間が多くなります。

なので、投稿頻度が増えるかも。

なのでそこら辺、よろしくお願いします。

夜9時り名古屋C1にて、桜井はSK-AutoTecの送り込んだ山森大我を迎え撃っていた。「チッ、なかなかに速いな。桜井悠人……"社長"の見込んだ走り屋ってのは、伊達じゃねーみてーだな!」オレンジ色のBMW M3 E46が、2000GTの後方へと一気に迫る。コーナーが来る度距離を詰めてくるM3に、桜井は内心ビビっていた。 (速い……一体何キロで追ってきてるって言うんだ!?)

ミラー越しに、M3がインを狙おうとするのが見えた。だが、桜井には山森にインを突かせるつもりは無かった。(仕掛ける気だろうけど、そうはさせないッ!)桜井は2000GTのリアを大きく揺らし、ブレーキング・ポイントを限界まで渋る。そして、桜井はココぞというばかりにブレーキを限界まで踏み込み、車体をインに寄せる。

ブレーキングでフロントに荷重が行き、フロントサスペンションが沈み込む。そこに、アクセントとしてアクセルを踏むことによって、完璧なバランスの取れたドリフトを決める。山森は、桜井が見せたこの高等テクに衝撃を受けた。(なっ!?これが……18の人間がやる技ってのかよ!?)山森は桜井の技に気を取られそうになるが、我を思い出してコーナリングに集中。

2台はきれいにコーナーを抜けていく。(クッソ……やっぱり"社長"の見込んだガキだな。……だが、今の技には1つ、大きな弱点がある。俺はそれを見抜いたぜ。案外チョロいかもな、コイツ。)M3のコクピットの中で、山森は目をニヤリと細める。(確かに、今のドリフトは綺麗だった。完璧にキマッてたけどな、アウト側をガラ空きにしてまで、内側の一本を守りきる走りしかしてねぇ。

つまりは、アウト側がガラ空きだってことだ。)ストレートを抜けて、再びタイトな右コーナーが迫る。桜井は山森がアウトから攻めようとしているのを、ミラー越しに確認した。(アウトから来るつもりか。でも、行かせないッ!)桜井はM3に車体をかぶせるように、車体をアウト側に寄せる。(やっぱりアウトに来たな。だが、その行動がお前にとってアダになるなんてな!)

山森は桜井がアウトに寄った瞬間、山森は車体をインに寄せた。「なっ!?」(俺がアウトに来れば、奴はアウトを守ろうとするって分かってたぜ。アウトに寄る、その行動がブラフだとも知らずになァ!)山森は、桜井にインを守らせる隙も与えずにインを死守する。「インはいただくぜ、桜井悠人ォ!」鋭いブレーキと共に、M3が鋭角にコーナーを切り込む。

まるで最初からインに突っ込むように設計されたかのようなライン取りだった。遂にコーナーを抜けて、山森が前に出る。完璧なオーバーテイクだった。桜井は圧巻し、声さえも出せなかった。(まるで、俺がアウトを守るって分かっていたかのように、そこに奴はいた……!!完全に相手のほうが一枚上手って事かよ!)

桜井の額には、冷や汗が滴っていた。圧倒的な実力を見せつけられ、桜井は諦めかけていた。(……いや、まだバトルは終わっちゃいない。まだアイツのテールランプが見えてるんだ。高市さんが付けてくれたサスペンション、これを惜しみなく使わせてもらう!!)桜井はステアリングを強く握りしめ、アクセルを踏み込む。"ニトロを使わないニトロ"。

桜井は、それを使うつもりだった。(左からロック解除、起動だな。よし、行くぞ!)ロングストレートに入ると、桜井は順番にスイッチを起動した。カチッと言う音共に、2000GTは物凄い加速力を見せた。(……やっと来たな、桜井!)山森は加速する2000GTの猛追に備え、山森もアクセルを踏み込む。だが、桜井は離れなかった。それどころか、マシンはどんどん近づいてきていた。(なっ!?さっきよりも圧倒的に速い!?)

バックミラーに映る2000GTの姿に、山森の眉がピクリと動く。まるでアサルトライフルの弾丸のように、物凄い加速力で桜井のマシンが迫ってきていた。BMW製直6エンジンのストレート性能さえも凌駕する異常な加速、その加速に山森は動揺する。(ニトロか!?)だが、ニトロの使用音や煙は無かった。(ニトロじゃねぇ、じゃあ一体何を使ったっていうんだよ──!?)

山森が混乱する中、ついに桜井の2000GTがテール・トゥ・ノーズでM3に張り付いた。ついに2000GTの直噴モードも切れ、完全なドライビングテクニックでの勝負となる。(これで、さっきと逆の体勢、コッチが攻める番になった。後はアイツをぶち抜くだけだ!!)桜井はコーナーに備え、ついさっきと同じく2000GTのリアを振った。

(この技は、相手からの攻撃を守るだけじゃない、攻撃に移したときに真価を発揮する技なんだ!!)リアを振った2000GTは、まるで意志を持ったかのようにバランスよく滑り出す。(またあの技かよ。だが、2度もやられるつもりは──)山森はコーナー進入時、ミラーで桜井のマシンの挙動を見て、思わず声を上げた。

「さっきと同じ技なのに、さっきよりも速い!?」滑りながらも加速を失わないライン取り。ただ守るだけだったさっきのドリフトとは、何かが違っていた(これは守るドリフトじゃない、攻めるドリフトってことかよ!)山森がアクセルを強く踏み込むが、直後にステアを僅かに切り遅れる。(実力差なんてクソ喰らえ。誰が相手でも、必ず勝ってみせる!)

桜井はその一瞬の隙を見逃さず、車体をインにねじり込む。「いっけぇぇぇッ!」2000GTはM3の横に並び、サイド・バイ・サイドの体勢になる。(サイド・バイ・サイドだとォ!?……クソッタレがァ!)だが、立ち上がりの加速ではM3に分があった。(落ち着け……立ち上がり加速じゃ、俺のM3の方が速い。SK-AutoTecの看板背負ってる以上、社長に恥かかせるつもりはねぇぜ!)

2台はコーナーを抜けていく。が、その出口だった。M3の前にはアザーカーがいた。(なんだと!?)山森はアザーカーを避けるため、第1車線に移る他無かった。(名古屋C1は通常3車線。山森さんのいる車線にアザーカーがいる。そしてインに俺がいたら、通らないといけない道は一つしか無い!)

M3は車線変更の影響で、ほんの少し失速した。(……クソッタレ!)桜井はその隙を逃さず、M3の前に車両をかぶせる。(……俺の負けだぜ。運が良かったんだな、お前は。)山森はタイミングを見計らって、環状線を降りた。(降りた……勝ったのか?オレ?)確かに──勝負は、ついた。

(……ギリギリだった。でも、あの人の読みを外せた。高市さんのセッティングがあって、俺の走りがあって、そして……運が、こっちに転がった。とにかく、今日は帰るしかないか。)桜井も、山森と同じように環状線を降りていった。




次の日の朝。「すみませんでした、社長!」SK-AutoTecのガレージ。山森はガレージに戻るなり赤田に深々と頭を下げ、赤田に謝罪した。「あのねぇ……とりあえず頭、上げてよ。」山森は赤田にそう言われ、頭を上げる。「負けたのはオレの責任です。完全にオレの実力不足でした。それに加え、少しばかりヤツを舐めていた。だからオレが悪いんです!」

赤田は腕を組んだまま、静かに山森の言葉を聞いていた。そして、しばらくの沈黙の後、口を開いた。「ふうん……そうやって素直に負けを認めるようになったのは、ちょっと驚きかな。だって、山森くん、この前までは“アザーカーのせいで”とか、“タイヤが滑って”とか言い訳してたじゃん。」

山森は目を見開き、言葉を詰まらせた。「それは……。」「でも、今日の山森くんは違った。ちゃんと相手を認めて、自分の足りなかったところも自覚してる。なら、それでいいじゃん。次、勝てばいいだけの話。」赤田はにっこりと笑う。けれど、その瞳の奥はどこまでもシビアだった。

「明日は違う人を送る。とにかく今は休んで、あとで今日の仕事に集中しなよ。お疲れ様。」赤田は山森の肩を軽くたたき、ガレージの最上階、社長室に向かって戻っていった。




午前8時。桜ヶ丘高校、廊下。「赤田さん、そろそろ非通知やめてくださいよ。」『ごめんね。これでしか電話できなくって。』桜井は赤田と通話していた。「またレースのお誘いですか?」『話が早くて助かる。いつ空いてる?』「今日は空いてますよ。夜なら。」

赤田はメモに予定を書き始める。『じゃあ今日の夜10時で良いかな。』「えぇ。いつでも。」赤田はペンを置く。『分かった。その時間になったら、また昨日みたいにチームのメンバーが後ろから攻めるから。じゃ。』赤田はそう言い残し、電話をきった。

(今日の夜か……。今夜は誰が相手なんだろうか。)桜井は今日の夜を楽しみにしながら、教室へ戻っていった。

山森はM3の走り屋です。

前回登場した「シルキーシックス」の

リーダーもM3の走り屋です。

因みに彼らは知り合いじゃありません。

以上、あばるとでした。

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