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Exhaust  作者: あると
Chapter.2 ファーストステップ編
16/24

2-1 宣戦布告

はい。始まりました。Exhaust Chapter.2。

サブタイトルは、「ファーストステップ」です。

紹介が遅れましたね。作者のあばるとです。

今回から投稿頻度の方針を変えまして、

話が出来次第、投稿の形になります。

その為、今回はChapter.1最終回の公開と

同じタイミングでの同時投稿としました。

あと今回は長編です。

SK-AutoTec。それは名古屋最速のレーシングチーム。名古屋の走り屋で知らない人は少ないといえるほど、地元では有名。桜井悠人(さくらいゆうと)は、そのチームの一員である小松芽郁(こまつめい)撃墜(オト)し、SK-AutoTecは焦っている。リーダーの赤田優美(せきたゆうみ)は、名古屋最速としての威厳を保つため、桜井に宣戦布告を起こす。




その日の深夜1時頃、名古屋高速都心環状線、またの名を「名古屋C1」。「このコーナーはもっと踏んでいい。すればもっと速くコーナーを抜けれる。」「はい!」桜井は、叔父の高市吾郎(たかいちごろう)を助手席に乗せ、名古屋C1を走り込んでいた。すると、後ろから1台の車が迫る。「……キセノン系のライト……スカイラインか?いや違う、なんだ?」ミラーには、紺色のE36型BMW M3の姿が映る。

「E36……知らない走り屋ですね。どうします?逃げます?」桜井の問いに、高市は逆に聞く。「お前はどうしたい?」「……OK、掴まっててくださいよ!」桜井はアクセルを強く踏み、M3から離れる。だが、M3も遠くまで離れず、逆に桜井の2000GTに追いついてきていた。「M3…ほーん、シルキー・シックスか。」「知ってるんですか?」

桜井は聞く。「あぁ。BMWの中でも直6車限定のチーム、通称シルキー・シックス。特にあのE36は、そのリーダーのマシンだな。SKの奴らには及ばない実力だが、油断はするなよ。それさえ踏まえれば、お前でもやれる。」「えぇ。やれます!」桜井はまた離そうとするものの、やはり離れない。まるで、固い紐で車が繋がっていて、紐がピンと張っているようだった。

「ブーストインジケーター弄るぞ。」「お願いします。もっとパワーをコイツに!」高市はダッシュボードに取り付けられている、2000GTのブースト圧を変更するインジケーターを弄り、ブースト圧を上げした。0.45kgf/cm²から0.6kgf/cm²に変更し、馬力が380から420まで底上げされた。

その瞬間、2000GTはまるで現代のクーペのような加速を見せた。「……ッ!」M3の男は、2000GTの見せた圧倒的な加速力に驚き、コーナーでアクセルを緩めてしまう。その隙を見逃さなかった桜井は、M3の男をコーナー脱出の加速で引き離す。M3の男はタイミングを見て、環状線を降りた。「ふぅ〜危なかった。」「中々やる走りを見せるな。成長したんだな。」「へへ。」

桜井は照れくさそうにしている。「そういえば、高市さんここらへんの走り屋に詳しいんですね。」「まぁな。客のマシンいじって、試し乗り中に追われるなんてしょっちゅう。俺たちもそろそろ切り上げようか。明日も学校だろ?」「はい、じゃ、そうしますか。」桜井も環状線を降りていった。その日の朝、桜井はいつものように学校に向かう。学校に着いて、自分の席に座ると、やはり杉野が一番先に桜井に話に来る。

「なぁ、最近お前さ目のクマ、ヒドいぜ?ちゃんと寝てんのかよ?」「ちゃんと寝てるよ…。」桜井は眠たそうに答える。「そうか?そうには見えないけど…ま、いいや。そういや昨日、シルキーシックスの奴らが負けたって。ネットの走り屋掲示板でスレ立ってたぞ。"シル6のM3が完敗"って。てか、あいつら解散したらしいじゃん。なんかヤベェ奴にボコられたってウワサ。」

桜井はその言葉に、ビクついた。「ん?どうした?」「イヤ、ナンデモナイデス…。」これは桜井がリーダーに圧勝、しかも慣らしで勝利し、

シルキー・シックスは完全に走り屋としての威厳を破壊され、解散したというわけである。「最近目のクマがひどいのって、まさか走り込んでるからだろ。程々にしとけよ?」「…分かってるよ。でも定期的に走らないと、速い時の感覚を忘れるんだよ。忘れやすいからさ。」

そう桜井が言った瞬間、桜井のスマホに非通知電話が。「悪い、電話。」桜井は廊下に出て、その電話に出た。『桜井くん?』電話主は、赤田だった。「赤田さん?どーしたんですか急に。」『いやぁ、なんというか、この前はありがとう。』桜井は困惑しながら電話を聞く。「…他にも言いたいことがありそうですね。なんです?」『そのね、うん。宣戦布告の話。この前したでしょ?』

桜井は思い出す。SK-AutoTecのメンバーの、五十嵐壮也とバトルし終わったとき、非通知電話が来たのだ。その時、桜井はSK-AutoTecから宣戦布告を受けていた。「あぁ、してましたね。それがどうしたんです?」『その事なんだけど、今日の夜からメンバーが環状線に出る。簡単に言うと、バトルをする。』

桜井は驚いた。「バトル?」『そう。バトル。桜井くんが名古屋最速を目指してるってなら、コッチも黙ってみてるだけじゃいられないのよね。だから、撃墜す。それだけよ。じゃあまたね。』桜井は電話を切ろうとする赤田を止めた。「あ、待ってください。」『…何?』「バトルは構わないんですけど、それ明日でいいですかね?最近睡眠不足で…。」

意外にも、簡単な理由だった。『…そうだよね。成長期だもんね。』「もう終わってますよ。」『フフッ。……分かった。じゃあ明日の夜9時、環状線を回ってて。コッチから、1人走り屋を送り込むから。』そう言い残し、赤田は電話を切った。桜井はスマホをしまい、深く息を吐いて教室へ戻った。(レース…ねぇ。今日の夜中の奴は、別に速いわけじゃなかったけど、明日のやつは一体速いのか不安だな。)

赤田優美からの宣戦布告は、ついにSK-AutoTecとの直接対決の火蓋が切って落とされたことを意味していた。「おかえり桜井。誰からだった?」「…赤田さん。SK-AutoTecの。」「え!?マジ!?」「明日レースしよーぜってさ。寝れねぇよまじで。」桜井は机に突っ伏す。「まぁ、健康には気をつけろよ。」「わかってるよ。」桜井はあくびをしながら答えた。

その日の夜。桜井は高市のガレージである、HIGH CITYにやってきた。そこで高市は2000GTのエンジンをマフラー部を弄っていた。「ただいま。"GT"、どーなってます?」「おう、悠人。とりあえずワンオフで新しいマフラーを作って付けた。排気効率が上がったおかげで、良く回せるようになった。そんで、何しに来た?」「いやぁ、今日の朝なんですけどね、レースに誘われちゃって。」

高市は興味深そうに聞いた。「誰から?またSK-AutoTecか?」「…あたりです。」高市は、2000GTの下から出てくる。「ほぉ、SKの奴ら、最近本気だな。」「それで、足回りのチューニングを頼みたいんです。パワーは良い感じだろうから、それに合う足回りを作って欲しいんです。」高市は、桜井の頼みに頭を抱えた。

「…そうしたいのは山々なんだがな。こいつに合うサスの在庫がないんだよ。」「えぇ!?無いんですか!?じゃあ、取り寄せってのは…。」「間に合わない。レース、明日の夜だろ?明日の昼来るとして、取り付けにも時間がかかる。」「マジかぁ……。」桜井は頭をかきむしった。せっかくマフラーのアップデートでパワーが上がったというのに、その力をしっかり路面に伝えられなければ意味がない。

「で、どうするよ。今あるパーツで何とかするか?」高市が、床に腰を下ろしてタオルで手を拭きながら言う。「……今あるパーツって、何があります?」「うちの在庫だと、古いけど車高調がある。減衰力調整は機械式でアナログだが、剛性は悪くない。あとは、スタビ。これも流用できそうだ。やるならこれしかないぜ。」桜井は少し悩む。「じゃあ、それでお願いします。」「分かった。お前には感謝してるからな。今回はタダでやってやる。」

高市のその言葉に、桜井は思わず目を見開いた。「……え、マジですか?本当にいいんですか?」「たまにはいいだろ。お前が、あの2000GTをここまで持ってきたことに免じてな。……それに、久しぶりにワクワクしてるんだよ、俺自身が。」そう言って高市は、照れ隠しのように笑って見せる。「お前のレース、見てると昔の自分を思い出すんだよ。無茶なセッティングを頼まれて、夜通し工具握って……そんなの、いつ以来だろうな。」

桜井はうなずいた。「……じゃ、俺も負けられないですね。恩返しは、勝利ってことで」高市はニヤリと笑いながら立ち上がった。「そう来なくちゃな。そんじゃ、さっさと組むぞ。明日の夜に間に合わせないとな」次の日の午前1時。ようやく全ての作業が終わった。桜井は2000GTの運転席に座り、エンジンをかける。ガレージには、新しいマフラーに変えられた2000GTのエンジン音が響いた。高市はエンジンを何度も吹かす。

「よしッ、いい音だッ!……1人で何熱くなってるんだか。さて、桜井に届けにいくか。」高市は2000GTに乗って、桜井宅に向かった。未明の冷たい空気の中、高市は白い2000GTで名古屋の街をドライブする。(……この街は、いつまでも変わんねぇな。この商店街とか、まだやってんだもんな。)桜井宅に着くと、高市は2000GTのヘッドライトを落とし、ゆっくりと停車する。(一人で住むにはデカいと思うんだがな。)

桜井のガレージに、ゆっくりと2000GTをいれる。ガレージにはランボルギーニ・ガヤルドのパーツが散らばっていた。(ほーん。流用出来そうなパーツを探してんのか。金にしたほうが早いんだがな。まぁ、いい。ジジィがどうこう言っても変わんねぇか。)高市は、2000GTの助手席に置いていた手紙を手に取り、車を降りた。そして、その手紙をポストに入れた。(勝てよ。SKは本気だぞ。)そう祈り、高市は桜井宅を後にした。

朝6時半。桜井は学校に向かう為、自宅の玄関を開ける。その時、桜井の目に2000GTの姿が映る。(……高市さん、届けてくれたんだ。あ、手紙だ。)桜井は手紙を開ける。「はぁ、『サスは取り変えたが、まだ暴れ馬に変わりはない。その車を扱えるのは、お前くらいしかいない。勝てよ。』か。不器用だけど、やっぱ優しいな。高市さんは。」桜井は手紙を大事にカバンにしまい、学校に向かった。

その日の夜9時、名古屋C1。桜井は予定通り環状線を走る。『環状線には、山森大我という男が現れる。オレンジ色のBMWよ。来たら、あっちがバッシングするから、タイミングを見て走り始めて。』そう赤田が言っていたことを桜井は思いだす。「オレンジ色ってったって、まずスポーツカーすらいないんだよな。」その時だった。後ろから直6エンジンの音が鳴り引き始めた。「来たか?」オレンジ色のBMWがバックミラーに映る。

「"社長"が言ってたのは、多分あれかな…。」山森は2000GTを見るなり、パッシングを始める。それに気づいた桜井は、ハザードを焚いて窓の外に手を出す。そして、指でカウントダウンを始める。「やるしかないんだもんな。んっ!」カウントダウンが終わるとともに、2台は一斉に走り出した。こうして、桜井vsSK-AutoTecのバトルが始まった。

第1話でした。

赤田が桜井に無茶させすぎかもしれないですが、

そういうキャラなのでどうとも……。

あと、赤田はSK-AutoTecの社長です。

補足はそれだけです。以上、あばるとでした。

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